篠栗(読み)ささぐり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「篠栗」の意味・わかりやすい解説

篠栗(町)
ささぐり

福岡県北西部、糟屋郡(かすやぐん)にある町。1927年(昭和2)町制施行。1955年勢門(せと)村と合併。三郡(さんぐん)山地西斜面の山地が広がり、中央部を西流する多々良(たたら)川沿岸に沖積低地が開ける。河岸沿いにJR篠栗線(福北ゆたか線)、国道201号、八木山(やきやま)バイパスが通じる。稲作を中心とした農業が主産業で、粕屋炭田北部の炭鉱が旧勢門村地区にあったが、1960年に閉山、その後は福岡市のベッドタウンとして、宅地化が進行している。1835年(天保6)に開かれた篠栗新四国八十八か所霊場札所(ふだしょ)が山間の渓流沿いにあり、八木山峠に向かう急坂「七曲り」(新吉野)のサクラ並木、須恵(すえ)町との境にある若杉山のスギ巨木林などとともに、太宰府(だざいふ)県立自然公園に指定され、多数の巡礼者やハイキング客でにぎわっている。南蔵院は篠栗新四国八十八か所霊場の総本山で、高田地区には県の教育センター、金出(かないで)地区に県立社会教育総合センター(少年自然の家を併設)がある。面積38.93平方キロメートル、人口3万1209(2020)。

[石黒正紀]

『『篠栗町誌』全2巻(1982、1990・篠栗町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「篠栗」の意味・わかりやすい解説

篠栗[町] (ささぐり)

福岡県中央部,糟屋(かすや)郡の町。人口3万1318(2010)。福岡平野の東縁に位置し,東は飯塚市に接する。標高600~700mの低山地に囲まれ,西流する多々良川沿いに沖積低地が開ける。中心の篠栗は長崎街道に沿う旧宿場町で,JR篠栗線,国道201号線が通じる。勢門(せと)地区にあった大小の炭鉱は1963年までにすべて閉山した。新四国八十八ヵ所の霊場があり,春秋に多数の巡礼者が訪れるが,40kmに及ぶ巡礼路は景勝地として知られ,若杉山など付近一帯は太宰府県立公園に含まれる。福岡市からのハイキング客も多く,かつての炭鉱に代わって観光が重視されている。近年,福岡市のベッドタウン化が急激に進み,人口増加が激しい。多々良川沿いの農業は従来の水田中心から,ハウス野菜の集団栽培など都市近郊型へ移行している。
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百科事典マイペディア 「篠栗」の意味・わかりやすい解説

篠栗[町]【ささぐり】

福岡県中部,粕屋(かすや)郡の町。主集落篠栗は福岡と飯塚を結ぶ街道の旧宿場町で,篠栗線が通じる。新四国八十八ヵ所の札所があり,巡拝路は景勝にすぐれ参拝客が多い。勢門(せと)はかつての粕屋炭田の炭鉱地。シイタケ,タケノコを特産。38.93km2。3万1318人(2010)。

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