精好(読み)セイゴウ

デジタル大辞泉 「精好」の意味・読み・例文・類語

せい‐ごう〔‐ガウ〕【精好】

細かいところまでよくできていること。
精好織り」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「精好」の意味・読み・例文・類語

せい‐こう‥カウ【精好】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) つくりかたが細かくてよいこと。できばえの美しいこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「凡粟之為物。支久不敗。於諸穀中。㝡是精好」(出典続日本紀‐霊亀元年(715)一〇月乙卯)
    2. 「その寺厳博殊能にして精好なり」(出典:塩山和泥合水集(1386))
    3. [その他の文献]〔宋史‐五行志〕
  3. ( ━する ) 細かな点にまで注意して工夫をこらし、良い結果や良いできばえのものにすること。みがきをかけて美しくすること。
    1. [初出の実例]「おなしていなる事をも、つよきは申とをし、よはきはうつもるるやうに候を、すいふんにせいかうせられ候へとも、おのつから人にしたかうて軽重なとのいてき候」(出典:北条泰時消息‐貞永元年(1232)八月八日)
  4. せいごう(精好)

せい‐ごう‥ガウ【精好】

  1. 〘 名詞 〙
  2. せいごうおり(精好織)」の略。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「精好大口、一切停止之、可大口」(出典:建武年間記(南北朝頃))
  3. せいこう(精好)

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改訂新版 世界大百科事典 「精好」の意味・わかりやすい解説

精好 (せいごう)

絹織物の一種で,精好織の略。〈せいご〉ともいう。地風が緻密で精美なため名付けられたといい,延久年間(1069-74)からある古い織物とされる。経緯ともに練絹糸を使ったもろねり,経緯糸の一方のみに練絹糸を使ったかたねりなどがある。また,経緯とも,無撚の生糸を使い緯糸を水に浸してよく打ち込んだものは,塩瀬風の外観をもち練染して使う。古くは平絹(ひらぎぬ)とともに女装束の緋の袴地や貴人の白下袴,能装束大口袴などに用いられた。現在は神官の装束や緋袴に使われる。紋織搦織もあり,無地が多く縞物は男袴地用。他に袴地の精好仙台平や夏袴の精好平がある。仙台,京都,米沢で織られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「精好」の意味・わかりやすい解説

精好
せいごう

地合いが緻密(ちみつ)で精美な織物であるという精好織の名称を略したもので、経緯(たてよこ)とも練(ねり)糸を使ったもの(諸練(もろねり)という)、あるいは経に練糸、緯に生糸を用いた(片練(かたねり)という)平織の絹織物。経糸に細い糸を使い、緯糸に太い合糸を水に浸して使うため、塩瀬(しおぜ)、琥珀(こはく)の地合いによく似ており、やや堅くて厚い。平安時代から絹織物生産の衰退に伴い、そのうちの良質な絹織物として生まれたもので、大口(おおぐち)などの袴地(はかまじ)に使われた。近世初頭には丹後(たんご)精好として知られ、丹後国(京都府)の特産品であった。また男物の袴地として精好平(ひら)があり、伊達(だて)藩の精好仙台平はそのうちの上等品でもあった。しかし現在では、神官の装束などに使われるくらいで、使用量は少ない。

[角山幸洋]

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普及版 字通 「精好」の読み・字形・画数・意味

【精好】せいこう

精巧。

字通「精」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の精好の言及

【有職織物】より

…経糸と緯糸によって作られる織物の四原組織のうち繻子(しゆす)組織を除くすべて,平組織(平織),斜文組織(),綟り(もじり)組織(綟り織)を網羅し,それぞれの組織の中にもさまざまな風合いのものがみられる。 平織では絹,絁(あしぎぬ),縑(かとり),練緯(ねりぬき),精好(せいごう)などが挙げられ,絹は上質の生糸を用いて織ったもの,絁は絹よりやや質の落ちる太細のある糸で織ったもの,縑は上質の生糸を精密に固く織ったものとされている。以上は経緯とも生糸で織り,生絹(すずし)と呼ばれてそのまま使うか,それを練って練絹として用いる。…

※「精好」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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