精選版 日本国語大辞典「精」の解説
せい【精】
〘名〙
① しらげること。また、そのもの。よくついた米。〔荘子‐人間世〕
② (形動) 詳しいこと。細かくゆきわたっていること。念入りに手を加えること。また、そのさま。
※日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉四「記事の巧みなるは想像の密なるにあり、論文の精なるは智の洽きにあり」 〔春秋公羊伝‐荘公一〇年〕
③ (形動) まじりけのない純粋なもの。えりすぐったもの。最もすぐれたもの。また、そのさま。
※玉塵抄(1563)九「吾が車は、牛がはやうて、牛をあつかう御者が精(セイ)な者ぞ。さるほどにはやいことぢゃと云たぞ」 〔書経‐大禹謨〕
④ (形動) 心をうちこむこと。力をつくしてはげむこと。努力すること。また、そのさま。
※義経記(室町中か)三「桜本にて学問する程に、せいは月日の重なるに随ひて、人に勝れてはかばかし」
⑤ 生命の根本の力。身にそなわっている力。元気。精力。精気。エネルギー。せ。
※日葡辞書(1603‐04)「Xeiuo(セイヲ) ツカラス」
※狂言記・聾座頭(1700)「扨も扨も、つんぼに物いへば、せいも心もつきることじゃ」 〔易経‐繋辞下〕
⑥ こころ。たましい。
※ぎやどぺかどる(1599)上「万の物に体と精と態と三つの事備りたり」 〔宋玉‐神女賦〕
⑦ ある物に宿る魂。多く、その魂が別の姿形になって現われた場合にいう。性。
※続日本紀‐天平三年(731)一二月乙未「謹撿二符瑞図一曰、神馬者、河之精也」 〔宋書‐符瑞志下〕
⑧ 精液。
※台記‐久安三年(1147)正月一六日「彼朝臣漏レ精、足動感レ情、先々常有二如レ此之事一、於レ此道不レ耻于往古之人也」
しら・げる【精】
〘他ガ下一〙 しら・ぐ 〘他ガ下二〙
① 玄米をつき、糠(ぬか)を除いて白くする。精米する。また、植物のあくなどを抜いて白くする。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※宇津保(970‐999頃)吹上上「臼一つに、女ども八人立てり。米しらけたり」
② 磨きをかけて仕上げる。きたえていっそうよくする。精製する。
※玉塵抄(1563)二八「公主の高祖の子秦王にもしらげた兵一万人をあたえて」
※俳諧・毛吹草追加(1647)中「霜柱しらげ立るやかんな月〈夕翁〉」
しらげ【精】
〘名〙 (動詞「しらげる(精)」の連用形の名詞化)
① 米をつきしらげること。玄米をついて精白すること。また、その米。白米。
※菟玖波集(1356)雑体「しらげの米はただ人のため 神垣の庭の真砂を打まきて〈救済〉」
② よりぬくこと。すぐれてよいこと。
しら・ぐ【精】
〘他ガ下二〙 ⇒しらげる(精)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報