日本大百科全書(ニッポニカ) 「紀勢」の意味・わかりやすい解説
紀勢
きせい
三重県中南部、度会郡(わたらいぐん)にあった旧町名(紀勢町(ちょう))。現在は大紀(たいき)町の中部を占める地域。旧紀勢町は、1957年(昭和32)北牟婁(きたむろ)郡錦(にしき)町(旧、紀伊国)と度会郡柏崎(かしわざき)村(旧、伊勢(いせ)国)が郡境の錦峠を越えて合併して成立。町名は、紀伊と伊勢の1字ずつをとった。2005年(平成17)大宮町、大内山(おおうちやま)村と合併、大紀町となる。JR紀勢本線、国道42号(熊野街道)、260号が通じる。柏崎地区は大内山川に沿う山村で、林業とシイタケ栽培を主とする。錦地区は熊野灘(なだ)に臨むリアス海岸の漁村で、ブリ定置網漁業で知られたが、現在はマダイやハマチ養殖が盛んである。また神武(じんむ)天皇上陸の伝説地でもある。錦湾には海水浴場や温水プールなどがある。そのほか、不動滝のある笠木渓谷、1万株の自生ツツジが咲く大平つつじ山などの名所がある。
[伊藤達雄]
『『紀勢町史』(2001・紀勢町)』