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田植踊 たうえおどり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

田植踊
たうえおどり

田植えの所作を見せる踊り。小正月を中心に行なわれ,特に東北地方に多く見られる。本来は正月の門付芸で,先導役でもある音頭とりの男性に合わせて早乙女役の女性たちが踊って家々を訪ねていた。今日行なわれている田植踊には,屋外で踊る庭田植えと座敷などで行なう座敷田植えとがあり,福島県二本松市に伝承されている石井の田植踊のように,田うない,種まき,田植え,稲刈り,米つきといった農作業の様子を演じるものもあれば,宮城県仙台市秋保の田植踊(今日では伝承地区の神社例祭日に行なう)のように,実際の田植の所作をほとんど見せずに太鼓などの楽器や採り物を持って踊るものもある。著名な青森県八戸市の「えんぶり」(2月17~20日)も,田植踊の一種。(→田遊び

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世界大百科事典 第2版の解説

たうえおどり【田植踊】

東北地方の小正月ころに行われる民俗芸能で,田遊(たあそび)の風流(ふりゆう)化したもの。村の青年や少年少女が,早乙女や道化の弥十郎に扮し,一団をなして農家の庭や座敷で,稲作の過程を踊りでにぎやかに見せる。余興に狂言や手踊がつく所もある。宮城県仙台市秋保(あきう)の田植踊は,大太鼓,小太鼓,笛,歌,早乙女,弥十郎が出て,《入羽(いりは)》《鈴田植》《一本扇》《二本扇》《はね太鼓》《上りはか》などの曲を演じるが,早乙女役は花笠・振袖姿で,踊りの振りや囃子は華やかな急拍子のものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

田植踊
たうえおどり

福島、山形、宮城、岩手、青森の奥羽5県に伝承する正月15日を中心に演じられてきた豊年予祝の芸能。その数は約300か所にも上っていたが、失われたものも少なくない。福島県の会津方面では五月女(さおとめ)踊、岩手県では春田打(はるたうち)、青森県ではえんぶりなどの呼称もあり、表現の方法に多少の違いがあるものの、同一系類の舞踊である。福島県と岩手県がとくに盛んであった。演者は大人あるいは青少年で、10人から15人ぐらいのグループを編成、作頭(さくがしら)に相当する音頭取りと舞人、笛、太鼓、銅拍子(どうびょうし)などの囃子(はやし)方からなる。演目は、田打ち、苗代(なわしろ)作り、田植、収穫の過程を、歌舞の形式で表現する。ほかに、えびす舞、大黒(だいこく)舞、春駒(はるこま)、鳥刺(とりさし)舞、万歳、狂言などの祝言ものを併演するところもある。田遊(たあそび)に通じるところがあるが、これは別種のものであり、熊本県下にも田植踊があるが、奥羽の田植踊は独特の創造であった。[新井恒易]
 なお宮城県の田植踊は、2009年(平成21)「秋保(あきう)の田植踊」としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。[編集部]

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世界大百科事典内の田植踊の言及

【民俗芸能】より

…民俗と称するのも,それが地域における社会慣習と認識されたためであり,事実,それらの芸能の多くは,土地や人の繁栄,息災を祈願する儀礼として,季節のおりおりに催す地域の祭りに毎年演じるのをならわしとした。すなわち,農耕生活を主体に社会を形成している日本では,年の初めにまず当年の穀物の豊穣を祈願予祝する祭儀を営むが,農村ではこのとき田遊(たあそび),春田打(はるたうち),御田(おんだ),田植踊などと称する芸能を演じる。田の土ならしから稲の収穫にいたる稲作の模様を,歌としぐさ,踊りなどで表現し,このとおりの無事収穫をお願いすると祈るのである。…

※「田植踊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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