経営協議会(読み)ケイエイキョウギカイ

デジタル大辞泉 「経営協議会」の意味・読み・例文・類語

けいえい‐きょうぎかい〔‐ケフギクワイ〕【経営協議会】

労働者経営参加または労使協調を目的として、労働条件人事経営方針などに関し、労働者と経営者協議する機関

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精選版 日本国語大辞典 「経営協議会」の意味・読み・例文・類語

けいえい‐きょうぎかい‥ケフギクヮイ【経営協議会】

  1. 〘 名詞 〙 労働者と使用者経営上の種々の問題について協議し、生産能率の向上をはかるための機関。労働者の経営参加の思想根底とするもので、労働協約に基づいて設置され、ふつうは労使同数の委員で構成される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「経営協議会」の意味・わかりやすい解説

経営協議会
けいえいきょうぎかい

労使協議制と同義に用いられる場合と、ドイツにおける工場委員会をさす場合とがある。

(1)労使協議制としての経営協議会は、企業の経営方針、経理状況、従業員の労働条件などについて、経営者と従業員代表とが協議する機関で、経営参加機能と団体交渉に近似した交渉機能をもっている。第一次世界大戦中のイギリスで労使協議会joint industrial councilとして始まり、ドイツ、フランスなどに及んだ。日本では大正末期から昭和初期にかけて設けられた例はあるが、本格的に普及したのは第二次大戦後である。日本の労働組合は企業別組織が主であるため、団体交渉と労使協議制の区分は不分明であり、両者を巧みに組み合わせるところに日本的労使関係特色があるともいえる。

(2)工場委員会worker's councilは個別企業の従業員組織であり、企業レベルにおいて経営者と協議や交渉を行う従業員代表機関となる。ドイツの場合これはBetriebsratと称されるが、それを直訳すると経営協議会になる。前出の労使協議制との関連でいえば、ドイツの経営協議会はその「労」の側の組織にあたる。ドイツの経営組織法(経営体制法、経営構成法とも訳される)によれば、経営協議会は、経営者と月1回以上会合をもち、労働組合および使用者団体と連携して、公共福祉に配慮しつつ平和的手段により従業員福祉の向上に努力するものとされている。経営協議会には争議権はない。

[森本三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経営協議会」の意味・わかりやすい解説

経営協議会[日本]
けいえいきょうぎかい[にほん]

労使協議機関の1つ。第2次世界大戦直後の中央労働委員会の指針によると,経営協議会は産業民主化の精神に基づき,労働者を事業の経営に参加させるため,使用者と労働組合との協約によって設けられる常設の協議機関であるとしている。それは懇談会または諮問機関ではなく,使用者代表と労働者代表が経営上の諸問題を平等の立場で協議し,決定した事項は当事者双方が実現をはかる義務をもつことを定めている。この指針が出されたのち経営協議会は一時普及をみたが,その後日本生産性本部から生産性向上を目指す労使協議制度の基準案が出され,経営協議会は生産性向上の諸問題を中心に協議する傾向が強くなっている。

経営協議会
けいえいきょうぎかい
Betriebsrat

労働者の経営参加制度の一形態。第1次世界大戦後の 1920年,ドイツではワイマール憲法 165条に基づく経営協議会法が公布され,労働者 20人以上の企業に経営協議会が設置された。労働者の企業経営参加が世界で初めて法制化され,設置された機関である。この制度は第2次世界大戦後,西ドイツの共同決定法 (1951) ,経営組織法 (52) となって引継がれている。

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百科事典マイペディア 「経営協議会」の意味・わかりやすい解説

経営協議会【けいえいきょうぎかい】

労働者の経営参加の一形態。労働者代表が資本家・経営者とともに企業経営の諸問題について協議する機関。ドイツでは1920年以降法制化されている。日本では第2次大戦後の労働運動発展期にこの種の協議会が労働協約に基づいて多く設置されたが,今日その機能の一部は生産委員会,労使協議会等に形と性格が変わっている。
→関連項目労使協議制

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世界大百科事典(旧版)内の経営協議会の言及

【労使協議制】より

…現行の労使協議制は50年代の後半に生成し,60年代を通じて製造業の大半の企業に広範に普及したが,その過程には激動の戦後史を背景とする曲折がある。第2次大戦後に成立した労使関係システムの最初の4年間は〈経営協議会〉の時代であり,その最初の2年間には,比較的多数の事例で労働者コントロールに近似する状況が存在し,また一般にも労働権優位の社会的雰囲気があった。この事情はイタリアの〈経営協議会〉時代と類似している。…

※「経営協議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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