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経済社会学 けいざいしゃかいがくeconomic sociology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

経済社会学
けいざいしゃかいがく
economic sociology

経済と社会との関連を問題にするが,経済学と社会学とのいずれからとらえるかにより種々の立場がある。 (1) デュルケム学派においては,集団表象を重視するので,経済現象を社会学的方法でとらえる。 (2) 形式社会学の場合は,経済学と経済社会学とを相互補完的関係とみなし,関係社会学特有の経済現象における人間諸関係を把握することに力点がおかれる。 (3) ドイツ歴史学派ならびにアメリカ制度学派は,社会と経済との不可分性から経済理論=経済社会学とする。 (4) 機能主義の現代社会学では,経済的行為を社会的行為の一形態としてとらえ,社会体系下位体系として経済体系を分析する。今日では,近代経済学と現代アメリカ社会学マルクス経済学とマルクス社会学がそれぞれ独自に経済と社会との関連をとらえる方法論を構築しつつある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

経済社会学
けいざいしゃかいがく
economic sociology

経済的行為および経済システムに含まれる非経済的要素を析出し、経済的行為と他の社会的行為との関連、および経済システムと他の社会システムとの関連のあり方について、社会学的視点から分析を進める学問分野。
 経済社会学は、マクロ的には、経済財の運用を計画的・組織的に行う経済活動の単位主体としての集団や組織が、同じ全体社会の下位システムとして相互依存関係にある他の非経済的な社会システムとの対応関係に注目し、どのような対応関係を確保することによって相互の協調ないし整合関係が維持されるか、あるいは緊張関係や紛争を通じて再編成が促進されるかを追究する。また、ミクロ的には、職業活動としての労働や消費行動に代表される経済財を媒介とする社会行動を営む行為主体の意思決定が、当事者の価値態度、動機づけ、役割認識、集団帰属意識などの非経済的な行動基準の諸要件との結合の仕方に注目し、どのような形で結合した場合に経済財を媒介とする社会行動の円滑な協働関係が形成されるのか、あるいは緊張関係が形成されるのかを追究する。
 現代の大企業は、高度工業化社会の進展に伴う社会的な構造分化と機能連関の複雑な変化のもとで、社会構造を構成する非経済的な諸要素から各種の影響を受け、企業行動そのものが制約されており、企業行動の分析にあたって、それらの非経済的要素との交渉過程の解明が不可欠である。社会的資源の交換を行う諸集団との交渉は、単に経済的価値だけでなく、非経済的な価値体系に基づく配分を求める利益集団が出現するため、企業は、それらの集団との交渉や紛争の調整を図るために、絶えず非経済的要素を加味しながら戦略的意思決定を見直し、より整合的な解決を図る必要に迫られている。そこで、企業は自らの意思決定に基づく企業行動を的確に推進するために、システムとしての自律性を確保することによって社会システムの制御能力を強化し、経済的勢力を結集して政治過程に対する影響力を行使する。それによって企業行動の成果の処理を経済的価値を基準として行うために、各種の戦術を動員して経営権力の社会的正当性を主張する。
 消費行動における非経済的要因の作用に関する知見を集約すると、具体的な消費支出の意思決定が行われる単位である家計は、消費生活単位として、その構成員の過去の生活経験、生活様式、生活環境などに即した消費価値意識と消費行動様式に規制されている。そして、社会的状況認識に従って生活目標の価値序列が規定され、生活資源の配分が決定される。職業活動を通じて消費生活は時間的、空間的に制約されるが、報酬の支出に基づく消費パターンは非経済的要因の介入によってさまざまである。現代の消費行動は、欲求や行動の多様化だけでなく、個性化、高度化を生み出している。[本間康平]
『N・J・スメルサー著、加藤昭二訳『経済社会学』(1967・至誠堂) ▽F・フュルステンベルク著、橋本昭一訳『経済社会学』(1976・新評論) ▽富永健一編『経済社会学』(『社会学講座8』1974・東京大学出版会)』

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