柞蚕(さくさん)生糸を経緯糸に使用して織り,精練漂白後,生デンプンの糊付仕上げをしたもの。ポンジーpongeeとも呼ぶ。平織で大幅と小幅がある。原色は淡黄茶色で,漂白するとクリーム色になる。薄地の普通品を絹紬と呼び,地の厚めの上級品は絹緞(けんどん)と呼ばれる。中国の山東省,河南省や,遼寧省の安東が集産地で,中国では織放しのものを繭紬,精練したものを練紬と分ける。日中戦争以前は柞蚕生糸を満州および山東省から輸入して織り,国内向けと対米輸出が盛んに行われた。まれに柞蚕絹紡糸を緯糸(よこいと)に,また,経緯ともに使ったものもある。絹織物としては安価でじょうぶであるが,染めにくいため原色で多く使われる。裏地,夜具地,洋装地に利用する。
執筆者:宮坂 博文
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柞蚕糸(さくさんし)を使い、平織にした薄地の織物で、ポンジーpongeeともいう。中国の山東(さんとう)地方でとれる野生繭から引いた糸で、家蚕の繭から引いた生糸に比べて、光沢が少なく、また漂白がしにくいのが欠点であるが、屋外飼育で手数がかからず、比較的収量も多いので、よく使われた。
日本では、もと中国から柞蚕糸を輸入していたが、いまは長野県松本市付近で飼育され、紬(つむぎ)糸にして織物の緯糸(よこいと)として使われるにすぎない。従来、ふとん裏地や兵児(へこ)帯に用いられたが、いまは素朴な味が好まれ、夏服地、着尺地に使われる。
[角山幸洋]
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