兵児帯(読み)ヘコオビ

デジタル大辞泉 「兵児帯」の意味・読み・例文・類語

へこ‐おび【児帯】

兵児が用いたところから》男子または子供用のしごき帯。へこ。
[類語]角帯丸帯袋帯名古屋帯博多帯

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精選版 日本国語大辞典 「兵児帯」の意味・読み・例文・類語

へこ‐おび【兵児帯】

  1. 〘 名詞 〙 ( もと薩摩の兵児が用いたところからいう ) 男子や子どものしごき帯。また、それを締めた人。へこ。
    1. [初出の実例]「白もめんのへこ帯へ〈略〉手ぬぐひをはさみ」(出典:怪化百物語(1875)〈高畠藍泉〉下)

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改訂新版 世界大百科事典 「兵児帯」の意味・わかりやすい解説

兵児帯 (へこおび)

帯の一種。幅50~74cm,長さ3.5~4mでしごいて二巻きし,後ろで結び垂らす。錦紗きんしや)ちりめんの総絞りから,モスリンの部分絞りまで種類は多い。男性,男児用は黒,ねずみ,茶など,女児用は色物を用いる。かつては着流しに用いられていたが,現在の男帯角帯主流となっている。兵児とは,鹿児島地方で青年男子を意味する。幕末から明治にかけて,薩摩藩士が筒袖股引軍装の上に,白木綿のしごき帯を締め帯刀したところから,この名称が起こった。職人などが帯として用いた三尺手ぬぐい三尺帯)と区別するために呼んだのであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵児帯」の意味・わかりやすい解説

兵児帯
へこおび

和服用帯の一種。並幅または広幅の布をしごいて胴を二回りし、後ろで両輪奈(わな)に結んで締める簡単な帯。現在、男性と男女児の普段着に用いられている。帯地は男性のものは錦紗(きんしゃ)、紬(つむぎ)、縮緬(ちりめん)などの広幅物、男女児は薄手羽二重(はぶたえ)の並幅に絞り染め、ぼかし染めをしたもの、または無地のモスリンなどが用いられる。色は、男性、男児のものは黒、ねずみ、茶、藍(あい)など、女児用には赤、桃色、黄色など華やかな色物が用いられる。古くはしごき帯といい、明治維新のころ薩摩(さつま)藩士の間で筒袖(つつそで)、股引(ももひき)の上に白木綿のしごきを締め、これに刀をさすことが行われた。薩摩ではこのしごき帯を兵児帯とよび、これが着物の上に締められるようになって、一般に兵児帯の名でよばれた。上等なものには広幅の白縮緬が用いられた。東京で角(かく)帯が兵児帯にかわって用いられるようになったのは1882年(明治15)ごろ以降で、このころから一般化した。

[藤本やす]

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百科事典マイペディア 「兵児帯」の意味・わかりやすい解説

兵児帯【へこおび】

男帯の一種。紺,黒,茶,ねずみ色などの縮緬(ちりめん),羽二重,木綿などを用い,大幅(約74cm)や中幅(約50cm)のものをしごいて締める。長さは3.5〜4m。鹿の子絞を施したものが多い。角帯に比べて普段用。子ども用の兵児帯を三尺ともいう。
→関連項目

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「兵児帯」の意味・わかりやすい解説

兵児帯
へこおび

男子,子供用の帯の一種。並幅の布を胴に2,3重に回し,うしろで結ぶ。材質は一般に縮緬 (ちりめん) ,モスリンなどの絞染,または無地物。兵児帯の名は薩摩の兵児 (15~25歳までの男子) が用いたことに由来し,しごき帯ともいう。また,鯨尺で3尺 (約 114cm) ぐらいあった職人用の帯に発したことから三尺ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の兵児帯の言及

【帯】より

…小児や少年には3尺の紺木綿を四つ折りとした三尺帯が用いられた。 明治維新以後は和服の需要が減少した結果,正装には従来の板帯,角帯が締められたが,一般には兵児(へこ)帯,三尺帯が普及し,現在に及んでいる。【北村 哲郎】
[野良着の帯]
 農山村,漁村の婦人たちが仕事着を着用したとき用いる帯は,初期のものは幅が狭く,江戸中期に書かれた農学書《奥民図彙》によれば〈帯たな〉と呼ばれていた。…

※「兵児帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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