綱火

世界大百科事典 第2版の解説

つなび【綱火】

和火(わび)(伝統花火)の一種で,各地の祭礼花火などに用いられる。小さな竹筒に火薬を詰め,張り渡した長い綱に着装し,綱に沿って走らせる。戦国時代には通信用に使われたという。現在は一般には茨城県筑波郡伊奈村の小張(おばり)(8月24日)と,同じ伊奈村高岡(旧正月24日,旧7月23日)の愛宕神社の祭礼に行われている薬発走線人形花火を指す。おそらく愛宕さまを迎える愛宕火として行われたものであろうが,除厄祈雨の伝えもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

綱火
つなび

竹の小筒に火薬を詰めて張り綱につけ、綱に沿って走り飛ばす仕掛け。戦国時代通信に用いたというが、今日は和火戯(わびぎ)の一つとして行われており、ときに立物仕掛け花火や献灯などの点火にも応用される。一方の端から他方に向けて飛ぶだけでなく、先方へ行って戻ってきたり、綱の途中で左右に割れて分かれて飛んだりする。
 これを応用した民俗芸能に「綱火」とよばれるものがあり、茨城県つくばみらい市小張(おばり)地区・高岡地区に伝承する人形操りをさし、国の重要無形民俗文化財に指定されている。同様のものが同県常総(じょうそう)市にもある。小張では8月24日の愛宕(あたご)神社の祭礼に行われ、松下流三本綱火ともいうが、人形は火薬の詰まった竹筒を背負わされ、綱に結び付けられて、3本の大柱と1本の発射台で仕切られた高さ10メートル前後、一辺十数メートルほどの所定の三角柱形の空間を火を噴きながら動く。実際は綱の仕掛けと巧妙な綱さばきによるものだが、花火の噴射力で動き回っているようにみえる。もと三河の戦国武将だった小張城主松下重綱の考案という。『舟遊山』『景清(かげきよ)の牢(ろう)破り』『那須(なす)与一扇の的』『安珍清姫日高川の場』などの演目がある。[西角井正大]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

つな‐び【綱火】

〘名〙 綱を伝って燃える火。また、火を他に点じるために燃やす綱状のもの。火縄(ひなわ)・導火線の類。
狂歌・徳和歌後万載集(1785)九「むすぶべき縁のつな火の折をえてあふは雨夜の星くだりかも」

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