網猟(読み)あみりょう

百科事典マイペディアの解説

網を使って鳥類を捕らえる狩猟法。鳥獣保護法では,むそう,張網(霞(かすみ)網を除く),突網,投げ網の4種類が許可されている。むそう網はを引くとかぶさるようになった網で,おとりを使ってスズメ,カモ,ガンなどを捕らえる。張網は最も広く行われる網で,日没後池のほとりや水田などに張り,暗夜に渡ってくるカモを捕らえる。突網は獲物に近づいてかぶせるもので,シギに用いる。投げ網は低く飛ぶカモに投げつけてかぶせる。銃猟の普及が遅れた日本では,過去に多くの世界的にも珍しい網猟の技法が伝承されていた。鳥獣保護のため限られたものを除き現在では禁止・廃却されている。
→関連項目カモ(鴨)猟狩猟

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世界大百科事典 第2版の解説

網を用いる狩猟。おもに鳥類の捕獲を目的とし,ウサギ網のみが獣猟である。現在は鳥獣保護法(鳥獣保護及狩猟に関する法律)の規制により固定された網は禁止され,猟者が動かす可動網のみ使用が認められている。現在行われている網猟の代表的なものは無双網。おとりやで寄せた獲物に猟者が綱を引き網を起こしてかぶせる猟法で,地方により各種ある。獲物はおもにスズメ類で,ときにはキジバトなども対象となる。カモ網として現在残されているのは谷切(やつきり)網。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

網を用いておもに鳥類を捕獲する狩猟。網は罠(わな)とともに人類が古くから使用してきた原始的猟具で、日本では7000~8000年前の縄文文化時代の遺跡から、投げ網、掬(すく)い網、伏せ網、張り網などの残証が発見されている。今日のように細くて強い網の製造や高度の網猟技術の発達は、紡績機械が発明されて以後である。素材は絹、木綿、麻その他の植物性繊維かナイロンなど化学繊維で、地上または空間に、張る、かぶせる、すくうなどの用法にあわせてつくられている。近年はナイロン製が多く、扱いやすいうえ安価だが、伸長性が大きいので獲物が網目を広げて逃げることがあり、多少捕獲能率が劣る。

 網猟の獲物は一般にスズメ、ニュウナイスズメ、カモ類、タシギ、ウズラ、キジバト、キジ、ノウサギなどで鳥類や小型獣が多いが、インドでは20世紀に至るまでトラを網で捕獲していた。銃猟が一羽一頭を目標とするのに対し、網猟は不特定多数の獲物を相手にする。また、銃猟では実包消費(実弾費用)が高価につくが、網猟は網の修理費程度ですむ。しかし、網の設置場所を選定するのに高度の経験を必要とするため、網猟はおもに職業的狩猟者の間で行われている。

[白井邦彦]

網の種類

網には、法定猟具としての網、使用制限付きの網、自由猟具としての網の3種類がある。法定の網は、(1)無双(むそう)網、(2)張り網(谷切(やつき)り網、袋網およびノウサギ用張り網に限られる)、(3)突き網、(4)投げ網の4種で、目的の獲物の種類、設置場所、規模の大小などにより、それぞれ多様な形式がある。これら法定の網を用いて網猟を行うには、狩猟免許のうちの網猟免許を受けて、都道府県に狩猟登録をしなければならない。使用制限付きの網としては、かすみ網に代表される張り網がある。張り網は網猟のうちもっとも手広く行われたが、まずかすみ網が制限猟具となり、1978年(昭和53)前述の法定猟具として認められたものを除き、使用を制限された。その使用には、とくに環境大臣から鳥獣捕獲許可証を受けなければならない。

 自由猟具の網は、狩猟期間中に捕獲禁止区域外で用いる限り免許も許可も必要としない。魚類、昆虫類などの捕獲用玉網を流用する場合がこれに該当する。なお、宮内庁の鴨場(かもば)で使われる網は、鴨を無傷のままで捕獲することができる「叉手(さで)網」と称する手持ちの網である。「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」第11条および第39条の規定により、狩猟不可能な区域でなければ、狩猟期間内に限り、環境大臣または都道府県知事の許可を受けなくても、垣、柵(さく)その他これに類するもので囲まれた住宅の敷地内において銃器を使用しないでする狩猟鳥獣の捕獲等は可能となっており、宮内庁の鴨場では免許をもたない外国使臣等も叉手網を使用して鴨を捕獲できる。

[白井邦彦]


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世界大百科事典内の網猟の言及

【狩猟】より


[狩猟方法,猟具]
 現代の狩猟は銃猟が中心であり,したがって猟具としては銃が主用される。しかし網猟わな猟も一部では伝統的な猟法として継承されていたり,有効な害獣駆除の方法として行われている。 網猟はおもに鳥類を捕獲する猟法で,ウサギ網のみが例外である。…

※「網猟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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