デジタル大辞泉 「鳥獣保護法」の意味・読み・例文・類語
ちょうじゅうほご‐ほう〔テウジウホゴハフ〕【鳥獣保護法】
[補説]前身の狩猟法では狩猟の規制に重点が置かれていたが、第二次大戦後、鳥獣保護の観点から改正が行われ、昭和38年(1963)「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に改称。平成14年(2002)に全面改正され、平成15年(2003)「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」として施行。平成26年(2014)の改正にともない現名称に変更。
正称は〈鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律〉。鳥獣保護事業を実施し,狩猟を適正化することにより,鳥獣の保護繁殖,有害鳥獣の駆除および危険の予防を図り,生活環境の改善および農林水産業の振興に資することを目的とする法律。1963年〈狩猟法〉(1918年制定)を大幅に改正し,その際にこの名称に変更された。本法のおもな内容は次のとおりである。(1)都道府県知事は環境庁長官の定める基準に従い,鳥獣保護事業計画をたてる。(2)環境庁長官の定める狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲してはならない。(3)狩猟鳥獣は登録を受けなければ,環境庁長官の定める銃器,網,罠その他の猟具を使用して捕獲することができない。ただし,囲障ある邸宅地域内において銃器を使用しないで捕獲する場合は除かれる。登録をするには,狩猟免許試験に合格し,狩猟免許をえなければならない。(4)環境庁長官または都道府県知事は,鳥獣の保護繁殖を図るため必要があると認めるときは,鳥獣保護区を設定し,さらには特別保護地区を指定することができる。(5)都道府県知事は休猟区,銃猟禁止区域を設定することができる。(6)環境庁長官は狩猟鳥獣の捕獲の調整の必要の有無,その他の事情を勘案して,猟区設定の認可をする。(7)鳥獣保護事業の実施に関する事務を補助するために,都道府県に鳥獣保護員を置くことができる。狩猟の対象として,鳥類がカモ,カラス,キジなど29種,獣類がクマ,タヌキ,イノシシなど18種が現在定められている。1992年〈絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律〉を制定。アホウドリ,イヌワシなど絶滅のおそれのある種について,国内野生動植物種として指定し,捕獲および譲渡などを原則として禁止している。〈生物の多様性に関する条約〉などが結ばれ,種の絶滅に対処するための国際的な取り組みが進められている。
執筆者:猪股 弘貴
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…いずれにしても,自然保護の概念は,現在の日本では未成熟で,著しく多様性をもつ概念であることを認めざるをえない。 明治以降,自然に対する人の社会の干渉に制約を加える制度は早くから作られてきており,そのおもなものとしては,自然公園法(1931年公布の国立公園法を継承して57年に公布)による国立公園・国定公園・公立公園,文化財保護法(1919年公布の史跡名勝天然記念物保存法等を統合して50年に公布)による天然記念物,鳥獣保護法(略称。1918公布。…
…日本における銃猟の普及は第2次大戦後とくに著しく,ハンターの急激な増加が野生鳥獣の減少を招く要因の一つになっており,狩猟と鳥獣保護のバランスが重要な課題となっている。
[現代の狩猟と狩猟行政]
日本の狩猟行政の幹となっているのは〈鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律〉(以下,鳥獣保護法という)である。狩猟に関する法律としては1895年制定の〈狩猟法〉があったが,1918年これを大幅に改正して現行法の母体を作り,さらにその後数次の改正を経て,現在の鳥獣保護法に至っている。…
※「鳥獣保護法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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