霞網(読み)カスミアミ

デジタル大辞泉 「霞網」の意味・読み・例文・類語

かすみ‐あみ【×霞網】

ツグミなどの小鳥猟に用いた、目に見えないような細い糸で作られた張り網。支柱を立てて張り渡し、少し離れるとのように見える。現在は使用禁止。 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「霞網」の意味・読み・例文・類語

かすみ‐あみ【霞網】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 鳥を捕獲する張り網の一種山林などの空間にやや高く張り、ツグミなどを捕えるが、現在では禁止されている。網の糸が細いため、薄い霞が掛かったように見えるところからいう。天網昼天(ひるてん)かすみのあみ。《 季語・秋 》 〔俚言集覧(1797頃)〕
    1. 霞網<b>①</b>〈西鶴諸国はなし〉
      霞網西鶴諸国はなし
  3. かすみ(霞)の網(あみ)
    1. [初出の実例]「霞網 霞を網に見なしたるなり」(出典:俳諧・改正月令博物筌(1808)春)

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改訂新版 世界大百科事典 「霞網」の意味・わかりやすい解説

霞網 (かすみあみ)

山間渡り鳥通路に張って飛行する鳥群をからめとる装置。現在,渡り鳥保護上禁止されているが,おりおりこれを犯す者が跡を絶たない。1940年代までとくに中部地方山地山稜が低くなって,ツグミ,ヒワアトリなど大群をなして渡る鳥が通過する場所に,鳥がくびをさし込んでぬけられないような細糸で目の小さな長い網を高く張り,早朝に訓練したおとりの鳥を鳴かせる。人はそばに小屋を設けて潜んでおり,おとりの声をきいて鳥群が舞い下ったとき,まだ暗くて網のあるのに気づかず,網の目にかかって騒ぐのを網を伏せて捕らえる。霞網業者は秋季は専門にこれに従事し,他の時期には農林業,商業などのかたわらおとりの訓練に努力した。獲物の量は主としておとりの声の良否によるところが多かったからである。獲物は主として仲買いによって集荷され,都市の料理店などに売られた。
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百科事典マイペディア 「霞網」の意味・わかりやすい解説

霞網【かすみあみ】

ツグミ,ヒワ,アトリなど大群をなして渡る小型の鳥を捕らえるための絹糸でつくられた網。鳥の目にはわからないのでこの名がある。早朝の暗い時刻に,くいを適当な距離に立て網を2重に張り,おとりの鳥を鳴かせ,飛来する鳥が網目に首をつっこんだところを捕らえる。1940年代まで主に中部地方の山地で行われていたが,鳥類保護の見地から,1947年以来鳥獣保護法により,学術研究など特別の理由がある場合を除き禁止された。
→関連項目網猟

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世界大百科事典(旧版)内の霞網の言及

【網猟】より

…網を用いる狩猟。おもに鳥類の捕獲を目的とし,ウサギ網のみが獣猟である。現在は鳥獣保護法(鳥獣保護及狩猟に関する法律)の規制により固定された網は禁止され,猟者が動かす可動網のみ使用が認められている。現在行われている網猟の代表的なものは無双網。おとりや餌で寄せた獲物に猟者が綱を引き網を起こしてかぶせる猟法で,地方により各種ある。獲物はおもにスズメ類で,ときにはキジバトなども対象となる。カモ網として現在残されているのは谷切(やつきり)網。…

※「霞網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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