山間の渡り鳥の通路に張って飛行する鳥群をからめとる装置。現在,渡り鳥保護上禁止されているが,おりおりこれを犯す者が跡を絶たない。1940年代までとくに中部地方の山地で山稜が低くなって,ツグミ,ヒワ,アトリなど大群をなして渡る鳥が通過する場所に,鳥がくびをさし込んでぬけられないような細糸で目の小さな長い網を高く張り,早朝に訓練したおとりの鳥を鳴かせる。人はそばに小屋を設けて潜んでおり,おとりの声をきいて鳥群が舞い下ったとき,まだ暗くて網のあるのに気づかず,網の目にかかって騒ぐのを網を伏せて捕らえる。霞網業者は秋季は専門にこれに従事し,他の時期には農林業,商業などのかたわらおとりの訓練に努力した。獲物の量は主としておとりの声の良否によるところが多かったからである。獲物は主として仲買いによって集荷され,都市の料理店などに売られた。
執筆者:千葉 徳爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…網を用いる狩猟。おもに鳥類の捕獲を目的とし,ウサギ網のみが獣猟である。現在は鳥獣保護法(鳥獣保護及狩猟に関する法律)の規制により固定された網は禁止され,猟者が動かす可動網のみ使用が認められている。現在行われている網猟の代表的なものは無双網。おとりや餌で寄せた獲物に猟者が綱を引き網を起こしてかぶせる猟法で,地方により各種ある。獲物はおもにスズメ類で,ときにはキジバトなども対象となる。カモ網として現在残されているのは谷切(やつきり)網。…
※「霞網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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