総合農政(読み)そうごうのうせい

改訂新版 世界大百科事典 「総合農政」の意味・わかりやすい解説

総合農政 (そうごうのうせい)

1970年2月20日に農政審議会答申をうけて閣議決定された〈総合農政の推進について〉にもとづき展開されたその後の農業政策を指し,農業基本法による農政を一面では促進し他面では軌道修正する内容をもった。総合農政という言葉が最初に登場するのは1968年7月〈総合農政の推進について〉という大臣指示事項であり,その内容が確定されるのは農政審議会の答申による。答申の内容は,米の需給調整,食糧の安定的供給,価格政策是正流通・加工の近代化と市場の開発,輸入の調整,離農の援助促進,近代的農業の育成,農村の整備開発の8項目からなっていた。この答申をうけ重点的に実施された政策は米の生産調整の実施,生産者米価抑制食糧管理制度運営の改革,農産物貿易自由化の推進,構造政策の推進などであったが,特に米の過剰対策にその政策的重点がおかれた。しかし72年の世界的食糧危機,73年秋の石油危機契機にその見直しが行われることとなり,とくに米の減反政策から麦・大豆等の転作政策を内容とする食糧自給力の強化へと変化することとなった。
農業政策
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百科事典マイペディア 「総合農政」の意味・わかりやすい解説

総合農政【そうごうのうせい】

1970年に農政審議会の答申により閣議決定された農業政策。それまでの農業基本法の政策を一部修正し,米の需給調整,食糧の安定供給,価格政策の是正,流通・加工の近代化と市場開発,輸入調整,離農の援助促進,近代的農業の育成,農村の整備開発の8項目を掲げ,とくに米の過剰対策に重点をおいた。しかし1972年の世界的食糧危機と1973年の石油危機で見なおしを迫られ,1980年代には産業として自立しうる農業を目指す新農政が主張された。1998年9月,農業基本法の抜本改正を検討してきた食料・農業・農村基本問題調査会は,株式会社による農地取得解禁や食料安全保障などを打ち出した最終答申を首相に提出した。→減反政策
→関連項目農業構造改善事業

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「総合農政」の意味・わかりやすい解説

総合農政
そうごうのうせい

米価政策に偏重していた農業政策から脱皮して,畜産果樹,野菜などへ重点を移し,総合的な見地から農政を展開しようというもので,1970年に公にされた。食糧管理制度の是正を前提として打出された新しい農政で,米の過剰対策としての生産調整を実施しながら農業基本法に基づく農政を推進することをおもな目的とし,次の4つの柱から成る。 (1) 米の需給調整 米の生産過剰を解消するため 71年から5ヵ年間 230万t水準の生産調整を行い,予約限度数以上の米の買入れを制限する。 (2) 価格政策の是正 需給の実勢によって政策価格を決め,生産者米価の据置き方針などの措置を講じる。 (3) 農産物輸入制限のなしくずし的撤廃 農家戸数の減少と規模拡大による専業農家の育成を名目としている。 (4) 離農の促進 農地転用条件の緩和,国や地方公共団体の先買い構想,農村地域への工業導入促進。このほか米をはじめ畜産物,野菜,果樹を合せて総合食糧の安定供給を,あるいは生産,構造,価格流通など各般の施策の総合的推進をはかったり,生産の場ばかりでなく流通,消費の場まで幅広く取上げて農政を展開する。

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