建築,絵画,工芸などの装飾文様における彩色技法のひとつ。暈繝彩色とも書く。同一系統の色彩の濃淡の変化を,ぼかしの方法によらず,濃い色調から淡い色調へ(あるいはその逆)段階式に区切りをつけながら塗ることをいう。普通,外側に最も明るい(淡い)色をおき,内側へしだいに暗く(濃く)2~3段,もしくはそれ以上に並べていくが,外側を暗色とし内側に向かってしだいに明色とする場合は逆繧繝と呼ぶ。例えば,青色系の繧繝では白群,群青,群青+墨などの変化で表す。他に緑,赤,紫色系の繧繝がある。繧繝の起源は西方のモザイクや綴織(つづれおり)などの工芸品の配色法に求められるが,東洋日本絵画の場合,限られた種類の彩色顔料で色調の微妙な変化を求め,あるいは2組の補色関係にある繧繝を隣り合わせてその対比や調和をはかるなど,多様な装飾効果をねらって独特の展開を示した。なお,畳の縁(へり)に繧繝彩色の布を用いたものを繧繝縁という。
執筆者:田口 栄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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色彩の濃淡の変化を,暈(くま)(ぼかし)によらず,明暗の異なる同系の色面を段階的に並列することで表す方法。中国にならって日本でも7世紀から用いられたが,天平期には紺(青)・丹(に)(赤)・緑・紫の4系統の繧繝を組み合わせた色彩法が法則化された。正倉院宝物に代表的な例がみられる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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