股部白癬(読み)コブハクセン(その他表記)tinea cruris

関連語 原田

改訂新版 世界大百科事典 「股部白癬」の意味・わかりやすい解説

股部白癬 (こぶはくせん)
tinea cruris

頑癬,また俗に〈いんきんたむし〉ともいう。水虫たむしと同様に,真菌の一種である皮膚糸状菌に属する白癬菌の感染により発症する。皮膚真菌症の一つ。皮膚の不潔や発汗誘因となるので,スポーツなどで汗をかくことの多い青年男子に好発する。夏に悪化することが多い。症状としては,鼠径(そけい)部,股部,会陰部,臀部に紅色の皮疹を生じ,しだいに遠心性に拡大し,環状,地図状,連圏状となる。中心治癒の傾向があり,中心部は色素沈着を残して治るが,辺縁部は堤防状にわずかに隆起し,鱗屑りんせつ),痂皮(かさぶた)がみられる。かゆみを伴うことが多い。陰囊病変が及ぶことは比較的まれである。菌は皮膚の最表層である角質層に寄生するので,鱗屑を採って顕微鏡検査を行えば確診できる。治療は,局所の清潔に心がけ,通気性のよい下着を着用し乾燥化に努めたうえで,トルナフテート,クロトリマゾール,ミコナゾールなどの抗白癬剤を外用する。
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家庭医学館 「股部白癬」の解説

こぶはくせんがんせんいんきんたむし【股部白癬(頑癬/いんきんたむし) Ringworm of the Groin】

[どんな病気か]
 太ももの内側にできる白癬です。下腹部や会陰部(えいんぶ)、臀部(でんぶ)に広がることもあります。原因菌の多くは猩紅(しょうこう)色菌で、たまに鼠径表皮菌(そけいひょうひきん)もあります。男性に圧倒的に多く、かつては青年男子によくできましたが、最近は中・高年者に多くなっています。
[症状]
 周囲に輪状に広がり、弧状(こじょう)(弓なり)になります。へりが堤防状に盛り上がり、境界が明瞭(めいりょう)で、かなりのかゆみがあります。内側が中心治癒傾向(ちゅうしんちゆけいこう)(「体部白癬(斑状小水疱性白癬/たむし/ぜにたむし)」)となります。鼠径表皮菌によるものは炎症症状が弱めです。間擦性湿疹(かんさつせいしっしん)、カンジダ性間擦疹(せいかんさつしん)、紅色陰癬(こうしょくいんせん)などとまぎらわしいため、鑑別診断が必要です。
[治療]
 抗白癬剤を外用すれば3~4週間で治りますが、色素沈着が残りがちです。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「股部白癬」の意味・わかりやすい解説

股部白癬
こぶはくせん
tinea cruris

股部に生じた白癬で,頑癬,いんきんたむしともいう。境界鮮明,円形ないし楕円形大小種々の病変で,辺縁部は堤防状にやや隆起し,丘疹が連生して落屑する。辺縁部は発赤,中心部に色素沈着があり,中心治癒傾向を示す。かゆみが非常に強く,小さな水疱膿疱ができることもある。しばしば多発し,相互に融合してじゅず状となる。

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世界大百科事典(旧版)内の股部白癬の言及

【たむし】より

…頭部,手足以外の生毛部の角質層に皮膚糸状菌が感染して発症する皮膚疾患。陰股部に生じたものを〈いんきんたむし(股部白癬)〉,それ以外の部位に生じたものを〈ぜにたむし〉と称することが多い。通常は水虫,たむしなどの白癬患者から感染するが,ときにはネコ,イヌなどペットの動物の白癬から感染することもある。…

※「股部白癬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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