日本大百科全書(ニッポニカ) 「肥後台地」の意味・わかりやすい解説
肥後台地
ひごだいち
熊本県中・北部にある、阿蘇外輪山(あそがいりんざん)西裾(すそ)から一辺ほぼ18キロメートルの正方形状に広がっている洪積台地。表層は黒色ローム、赤土で覆われ、緩やかに西に傾斜しながら、標高100メートル、30~40メートル、10メートルの三段の台地面からなる。これらの台地面上に島状に点在する群(むれ)山、飯高(はんこう)山、神園(こうぞの)山、小山(おやま)山、戸島山は、台地下部を構成している阿蘇火山起源の堆積(たいせき)物供給前の中生代白亜紀の堆積岩である。地形的開析は河川沿いに激しく、なかでも北端をなす菊池川、その支流の合志(こうし)川、中央を流れる白川、南端をなす木山川、ほぼ西端をなす坪井川などでは著しい。昭和30年代前半から深層地下水の採水による開田が津久礼(つくれ)や保田窪(ほたくぼ)で行われ始め、昭和40年代後半からは九州自動車道などの道路整備に伴う工場の進出や住宅化、さらに昭和50年代後半には肥後台地の南東端に位置する高遊原(たかゆうばる)にすでに移築されていた熊本空港を核に農工業のハイテク化、住環境の質的向上を目ざした開発が展開している。これに伴い地下水の乱開発と汚染が緊急な問題となってきている。
[山口守人]