日本大百科全書(ニッポニカ) 「飯高」の意味・わかりやすい解説
飯高
いいたか
三重県中西部、飯南郡(いいなんぐん)にあった旧町名(飯高町(ちょう))。現在は松阪市西部の一地区。櫛田(くしだ)川の最上流部、高見山地の東麓(とうろく)に位置する。旧飯高町は、1956年(昭和31)宮前、川俣(かばた)、森、波瀬(はぜ)の4村が合併して町制施行。町名は古代からの郷名、郡名を引き継いだ。2005年(平成17)嬉野(うれしの)、三雲(みくも)、飯南(いいなん)の3町とともに松阪市に合併した。地域の90%以上が山林で、櫛田川をさかのぼり西の高見峠を越え、奈良県に至る国道166号が唯一の交通幹線で、かつては和歌山から大和(やまと)を経て伊勢(いせ)へ至る参宮南(和歌山)街道としてにぎわった。県下でも過疎化の著しい山村で、磨き丸太など良質の杉、檜(ひのき)の育林と製材、シイタケ、茶の栽培などを主産業とする。室生赤目青山国定公園(むろうあかめあおやまこくていこうえん)に属し、櫛田川に香肌(かはだ)峡がある。支流の蓮渓谷(はちすけいこく)には蓮ダムがあり、このあたりではイノシシ、サル、シカなどをみることがある。
[伊藤達雄]
『『飯高町郷土誌』(1986・飯高町)』