肩上(読み)ワタガミ

デジタル大辞泉 「肩上」の意味・読み・例文・類語

わた‐がみ【肩上/綿上/綿×噛】

よろい具足の胴の両肩に懸ける部分名称背面押付おしつけの板から両肩に続けて前の胸板高紐たかひもに懸け合わせる装置
頭の後ろの方。後ろ髪
「菊王が―つかんで」〈謡・摂待

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精選版 日本国語大辞典 「肩上」の意味・読み・例文・類語

かた‐あげ【肩上】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 子どもなどの着物の裄(ゆき)を、その成長に応じて調節できるように肩の所に縫い上げること。また、そのもの。肩縫上げ。
    1. [初出の実例]「てんつるてんの古ゆかたも余程育ったと見えて、肩縫上(カタアゲ)をおろした跡が真新しくわかり」(出典滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
  3. 布などを適当な長さに縫い上げることを、比喩的にいう。
    1. [初出の実例]「仮宅入口せまふして、のうれんかた上をし」(出典:洒落本・遊僊窟烟之花(1802か)三)

けん‐じょう‥ジャウ【肩上】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 肩のうえ。
    1. [初出の実例]「肩上の笠には〈略〉無影の月をかたぶけ、担頭の柴には不香の花を手折つつ」(出典:光悦本謡曲・葛城(1465頃))
  3. 禅宗で、自己より上位上席のものをいう。
    1. [初出の実例]「己位上下也。同上肩下肩。勅修清規両序交代茶云、〈略〉請肩下一人光伴、如肩上人趣、坐位相妨」(出典:禅林象器箋(1741)称呼)

かた‐あがり【肩上】

  1. 〘 名詞 〙 文字右方が上がっていること。右上がりに文字を書くこと。右肩上がり。⇔肩下がり

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世界大百科事典(旧版)内の肩上の言及

【甲冑】より

…左手に持たれていた手楯は小型化して鳩尾(きゆうび)板となり,栴檀(せんだん)板とともに胸部と高紐(たかひも)の空隙を防御する装置となった。鎧を肩につる綿嚙(わたがみ)(肩上(わたがみ))に障子板を立てて頸部を保護し,胴正面から左脇にかけて弦走韋(つるばしりのかわ)を張って,弓射の際,小札が弦の邪魔にならないようにしている。さらに挂甲が正面で右衽(みぎまえ)の引合せとなって,左右から両脇・背面までひと続きとなっていたのに対し,鎧は衝胴(かぶきどう)(胴廻り)を前面・左脇・背面とつらね,右脇の闕(あき)に,壺板に蝙蝠付(こうもりづけ)をもって草摺一間を垂れた脇楯(わいだて)を当てる。…

※「肩上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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