肺間質にびまん性に線維性結合織が過剰形成をおこし、肺の機能が障害されている状態をいう。このような病態をもたらす原因はサルコイドーシスなど多数あり、その臨床像や病態生理は基礎疾患により複雑な様相を呈するが、一方、呼吸困難などの自覚症状、びまん性の結節状または網状の陰影を主徴とする胸部X線像、拡散障害を主とする肺機能所見など、共通する所見もみられる。
1944年にハンマンHammanおよびリッチRichが「急性びまん性間質性肺線維症」の4剖検例を発表したのが、肺線維症の概念の始まりである。その後、慢性の経過をとる症例も多数追加され、間質性線維症の前段階ともいうべき間質性肺炎が注目されるようになった。種々の分類が発表されているが、現在では肺線維症といえば、局所性でなく、びまん性のものをさし、原因となった病名の明らかな場合は原疾患名をつけてよび、原因不明のものを「びまん性線維化性間質性肺炎」とし、これを狭義の肺線維症とするものが多い。
[山口智道]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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