出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
河川や水路において流れが常流の場合,川底が突出していたり滝のように急な段差があったり,あるいは川幅などが急変し断面が大きく変化しているとき,急変している部分から上流の水面の縦断形状は,これらがない場合に比べ大きく変化する。このときの変化した水面の状態を背水という。ここで常流とは,水深が限界水深(流量が一定で比エネルギーが最小,あるいは比エネルギーが一定で流量が最大のときの水深)より大きい流れのことである。河川にせきやダムを設けると,水がせき上げられ,水位の上昇が上流に及ぶ。これをせき上げ背水といい,もっとも一般的な背水であり,水面の曲線(背水曲線という)はせきまたはダムの付近では水平に近いが,上流にさかのぼるにつれて本来の河川の流れに漸近し,最後は川の流れに一致する。また流れが滝のように急激に落ちこんでいる場合の背水を低下背水といい,背水曲線は上流から段差に近づくに従って水深が浅くなり,水面こう配が急になっていく。
執筆者:中沢 弌仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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