デジタル大辞泉
「胎児水腫」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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たいじすいしゅ【胎児水腫 Hydrops Fetalis】
[どんな病気か]
胎児(たいじ)の全身の浮腫(ふしゅ)(むくみ)、心不全(しんふぜん)、重症の貧血などをおもな症状とする病気で、多くの場合Rh式死産となります。胎児水腫がおこる原因には、Rh式血液型不適合妊娠(「血液型不適合妊娠」)に代表される免疫性のものと、先天性心疾患や腎臓(じんぞう)の形態異常などによる非免疫性のものとがあります。
[検査と診断]
免疫性か非免疫性かを確かめるため、母親の血液型がRh(-)かどうか検査し、母体血の間接クームス試験(コラム「クームス試験」)を行ないます。
また、超音波断層法で胎児の頭部皮下組織の浮腫、脾腫(ひしゅ)(脾臓(ひぞう)の肥大)や腹水(ふくすい)、胎盤(たいばん)の浮腫状巨大化などの有無を調べます。羊水(ようすい)中のビリルビン様物質の測定(胎児が溶血性黄疸(ようけつせいおうだん)(「新生児溶血性黄疸」)をおこしていないか調べる)や、胎児心拍数図でのサイナソイダルパターン(コラム「サイナソイダルパターン」)の確認なども行ないます。
[治療]
原因が免疫性の場合で、胎児が心不全をおこしたり、水腫のため危険な状態におちいっているときには、胎児を早期に娩出(べんしゅつ)し、交換輸血を行ないます。また、母体血の間接クームス試験の検査値が上昇を示したときは、抗体がつくられるのを予防する抗D抗体を使用する方法もあります。
ただし、非免疫性の胎児水腫の場合には、根本的な治療法はありません。
[予防]
免疫性の胎児水腫は、Rh(-)のお母さんからRh(+)の赤ちゃんが生まれたとき、お母さんに分娩後すみやかに抗D抗体を注射することで、次回妊娠の際の発症を予防することができます。
しかし、非免疫性の胎児水腫には、特別な予防法はありません。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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