連歌・俳諧用語。連句の第二句である七七の14音節句。〈客発句・亭主脇〉といって,一座(座)の亭主が受け持ち,常連のみの集いでも客の挨拶に答える心でよむ。一句の作意をこらすよりも付けることが大事で,発句(ほつく)の意を十分に忖度(そんたく)し,その状況をよくふまえて,それに逆らわず,寄り添い補うように付ける。和歌の下句を付ける要領だが,一句としても独立の判断を必ず示さねばならない点が異なる。当然ながら発句と同季,それも発句の季語が初・仲・晩の三月にわたる場合は,当季に従ってそのいずれかに定める。発句が神祇・釈教・恋の句ならば,やはりそれに合わせる。句末は〈韻字留(いんじどめ)〉といって,仮名より漢字の語がよいとされた。要するに,句末を体言にしてすわりをよくすることで,用言の場合は終止形にする。発句・脇の和歌一首のごとき合体感を強調し,三句目の転じを効果的にするくふうである。夢想の句や古人の作を発句にして脇から始める連句を〈脇起し〉という。
→連句
執筆者:白石 悌三
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