脊髄の腫瘍(読み)せきずいのしゅよう(その他表記)Spinal tumor

六訂版 家庭医学大全科 「脊髄の腫瘍」の解説

脊髄の腫瘍
せきずいのしゅよう
Spinal tumor
(脳・神経・筋の病気)

どんな病気か

 脊髄なかにできる腫瘍、脊髄の表面にできる腫瘍、脊髄をおおっている硬膜(こうまく)と呼ばれる組織の外側にできる腫瘍があります。

 脊髄のなかにできる腫瘍は神経膠腫(しんけいこうしゅ)がほとんどで、脳と比べ悪性腫瘍の頻度は下がります。脊髄の表面にできる腫瘍は、多くは聴神経(ちょうしんけい)腫瘍の仲間である神経鞘腫(しょうしゅ)と、脊髄表面のくも膜からできる髄膜腫(ずいまくしゅ)です。硬膜の外側にできる腫瘍は、ほとんどががんの転移による悪性腫瘍です。

症状の現れ方

 背中の痛み、手足に走るような痛みなどが時々出て、やがてこれらの痛みが続いたり、手足の感覚が(にぶ)ったりします。その後運動の障害が現れ、階段を降りにくくなる、つま先が引っかかるなどの訴えが聞かれます。そのほか、腸の運動が鈍くなって便秘になったり、膀胱の機能が悪くなって排尿に時間がかかるなどの症状も現れます。

検査と診断

 脊髄を保護している背骨に異常がないかを確認するために、X線検査を行います。X線撮影では骨の動きも大切なので、首を前後に曲げたりする撮影もします。MRI検査では、腫瘍の存在とまわりの神経との関係がよくわかります(図40)。必要により、腰から針を刺して髄液(ずいえき)検査したり、CTや脊髄造影などの検査が追加されます。

治療の方法

 手術により腫瘍を切除し、まわりの神経への圧迫を取り除くことが必要です。とくに脊髄のなかにできた腫瘍では、手術顕微鏡を使った高度な手術テクニックが要求されます。

松前 光紀


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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