六訂版 家庭医学大全科 「腎臓病の合併」の解説
腎臓病の合併
じんぞうびょうのがっぺい
Renal diseases in pregnancy
(女性の病気と妊娠・出産)
妊娠時の腎機能
腎臓のはたらきは妊娠前に比べ妊娠中は非常に増大します。たとえば、腎
注意すべき腎臓病
妊娠中は、増大した子宮や
急性腎炎:蛋白尿が陰性化して12カ月を経過していれば、妊娠・出産は差し支えありません。
反復性あるいは持続性血尿症候群:妊娠・出産は差し支えありません。
慢性腎炎:妊娠前の腎機能(Ccr:クレアチニンクリアランス)で次の5ランクに区分します。①90ml/分以上、②90~70ml/分、③70~50ml/分、④50~30ml/分、⑤30ml/分~
①、②は妊娠・出産は一般に差し支えありません。③は原則としてすすめられません。④、⑤はすすめられません。これらの基準は原則的なもので、とくに①、②の病期では病態が安定している状態に適用します。蛋白尿が2g/日以上の場合、あるいは高血圧の合併(拡張期血圧95㎜Hg以上)では区分を低いランクとします。
ネフローゼ症候群:治療効果と腎機能から次の6ランクに区分します。
①完全
なお、拡張期血圧が95㎜Hg以上を持続する場合、あるいは病態が不安定な場合には区分を低いランクとします。
腎移植後:妊娠の可能な条件としては、①腎移植後2年間以上一般状態が良好であること、②蛋白尿がないこと、③高血圧がないこと、④拒絶反応の徴候がないこと、⑤血清クレアチニン値が2㎎/㎗以下であることなどをすべて満たすことが必要です。
尿路感染症:前述の妊娠の特異性から、妊娠中は尿路感染症を合併しやすくなります。妊娠中の腎盂(じんう)腎炎の症状は、発熱(39℃台などの高熱)・
治療が遅れると子宮収縮を生じ、切迫早産から早産へと進展する危険があるので注意が必要です。
小島 俊行
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報