翻訳|dilatometer
材料の熱膨張による寸法変化を測るための計測器。試料の元の寸法に対する寸法変化の割合を線膨張率といい,通常の工業材料では温度変化1℃当り100mmにつき1μm前後,すなわち10⁻5程度の値である。
温度変化を与える条件の中で,このような微細な寸法変化を測定するために,膨張計では種々のくふうがされている。図1は,寸法測定器自身が温度の影響を受けないように,温槽中に置いた試料に石英棒を接触させ,これを介して温槽外に取り付けた変位測定器に試料の寸法変化を伝え測定する。この例では,ダイヤルゲージを利用して変位を読み取っている。図2は,光波干渉測長を利用したもので,非接触の測定が可能である。温槽中に置いた試料の両端面に平行ばねを利用して鏡を接触させておき,試料の膨張による二つの鏡面間隔の変化を光の干渉を利用して測定する。このほか,寸法変化を電気容量など電気量で取り出すもの,光てこを利用して測るものなどがある。また温度による材料の結晶の格子間隔の変化を,X線回折像を利用して測る方法もある。上記のほかに液体や気体の体膨張率を求める膨張計がある。液体の場合は,異なる温度における浮力の差から求める方法やガラス容器を利用した容積膨張計などがある。気体の体膨張率は,種々の温度の等温曲線から実験的に求められる。
→熱膨張
執筆者:樋田 並照
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
固体、液体、気体の膨張率expansion coefficientを測定する装置。広く使われているのは、固体の温度による長さの変化(熱膨張率)を測る装置である。長さの変化は、膨張率の大きいガラスや金属などでは、測微顕微鏡で直接測ることもできるが、一般には、石英ガラスのように膨張率が小さく、膨張率既知の材料の棒(伝達棒とか押し棒という)で加熱装置の外に長さの変化を伝えて、その位置の変化を光てこ、ころによる機械的拡大や、差動変圧器、コンデンサーによる電気的拡大によって測る。また、小さい試料とか変化の小さい場合は、レーザー光を使うとか光の干渉を使う方法もある。
異形の固体の膨張率の測定は、適当な媒体の中に試料を吊(つ)るして浮力の変化から求める。膨張率既知の固体を用いれば、液体の膨張率が求められる。液体温度計のように液体に変化を伝えて測る方法もある。いずれの方法も媒体が限定されるため、高温の測定はむずかしい。
気体の体膨張率は、気体の圧力を一定に保ち温度を変化させたときの体積の変化を求めればいいが、技術的にむずかしい操作である。
[長崎誠三 2015年4月17日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
固体,液体,気体の膨張率を測定する器械の総称.固体の線膨張率を求めるには,長さを精密に測ることのできる測微顕微鏡や,コンパレーターなどを用い,温度を変化させて長さを測定し,その差から温度差による膨張率を算出する.長さの変化を連続的に測定するため,光てこ,差動トランスなどを用いることがある.液体の体積膨張率を求めるには,体積膨張計やアルキメデスの原理を用いた重量膨張計がある.気体の体積膨張率には気体温度計が用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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