臨む(読み)ノゾム

デジタル大辞泉 「臨む」の意味・読み・例文・類語

のぞ・む【臨む】

[動マ五(四)]《「望む」と同語源》
風景場所などを目の前にする。向かい対する。面する。「海に―・んだ部屋
ある事態が起こるようなところに身を置く。そういう時に当たる。出あう。直面する。「危機に―・む」「死に―・む」「終わりに―・んで礼を述べる」
その場所へ出かけていく。特に、公の、または晴れの場所などに、出席または参加する。「開会式に―・む」「試合に―・む」
支配者が被支配者に対する。また、予想できる事態に対応した態度で人に対する。「強権発動をもって―・む」「厳正な態度で―・む」
[可能]のぞめる
[類語]際する向かう迎える直面する当面する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「臨む」の意味・読み・例文・類語

のぞ・む【臨】

  1. 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
  2. 高い所から低い所に向かい対する。
    1. [初出の実例]「遙に、のぞみて谷を見れば、足すさましく肝きえ」(出典:車屋本謡曲・石橋(1465頃))
  3. 君主、治者として、人民、被治者に対する。君臨する。また、予想できる事態に対応した態度で人に対する。
    1. [初出の実例]「且、当に山林を披払(ひらきはら)宮室(をほみや)を経営(をさめつく)りて恭(つつし)むて宝位(たかみくらゐ)に臨(ノソム)て、元元(おほむたから)を鎮(しつ)むべし」(出典:日本書紀(720)神武即位前(北野本訓))
    2. 「母后いだいて朝(てう)にのぞむと見えたり」(出典:平家物語(13C前)四)
  4. 身分の高い人が、身分の低い人の所に行く。身分の高い人が、ある席に出る。
    1. [初出の実例]「請ふ、姉(なねのみこと)、天国(あまつくに)に照(てら)し臨(ノソミ)たまふこと、自(をの)づからに、可平安(さきくま)しませ」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  5. その場所に行く。出席する。
    1. [初出の実例]「一道に携はる人、あらぬ道のむしろにのぞみて」(出典:徒然草(1331頃)一六七)
    2. 「只今より其座に臨(ノゾミ)候共」(出典:太平記(14C後)二七)
  6. ある場合にぶつかる。際する。出あう。また、ある状態になる。
    1. [初出の実例]「形も毎日劣り疲て命ち既にあやふきに望みにたり」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
    2. 「その死にのぞめる事、軍の陣に進めるに同じ」(出典:徒然草(1331頃)一三七)
  7. 目の前にする。風景や物を前面にする。向かいあう。
    1. [初出の実例]「海にのぞみたる松に、つたの紅葉のかかりたるを」(出典:和泉式部集(11C中)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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