迎える(読み)ムカエル

デジタル大辞泉 「迎える」の意味・読み・例文・類語

むか・える〔むかへる〕【迎える/×邀える】

[動ア下一][文]むか・ふ[ハ下二]《「向かう」と同語源》
人の来るのを待ち受ける。「旧友を駅に―・える」「拍手で―・える」
呼んで、来てもらう。呼びよせる。「医者を―・える」
招いて仲間家族に加え入れる。「会長に―・える」「養子を―・える」
(確実にやってくる)ある時期段階目前にする。また、その時期や段階が訪れる。「還暦を―・える」「死を―・える」「正月を―・える」
よしとして受け入れる。ごきげんをとる。「上司の意を―・える」
相手攻撃を待ち構えて防ぐ。「敵を―・える」
[類語](1待ち受ける出迎える歓迎する奉迎する迎え入れる迎え出迎え目迎送迎送り迎え/(3迎え入れる招くへいする招聘する/(4臨む際する直面する当面する/(6迎え撃つ迎撃する邀撃ようげきする

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精選版 日本国語大辞典 「迎える」の意味・読み・例文・類語

むか・えるむかへる【迎・邀】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]むか・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 「むかう(向)」と同語源 )
  2. こちらに向かって来るものに対して、途中まで出かけて待ち受ける。また、用意して待つ。
    1. [初出の実例]「去年の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎(むかへ)けらしも」(出典万葉集(8C後)八・一四三〇)
  3. その場に居て、自然にやって来るのを待つ。時や季節が推移してある状態がおとずれることにいう。
    1. [初出の実例]「都へは年とともにぞ帰るべきやがて春をもむかへがてらに〈源為善〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)冬・四二四)
    2. 「舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立)
  4. 呼んで、来るように仕向ける。呼び寄せる。また、準備をして人を待ち受ける。
    1. [初出の実例]「京へなど、むかへたてまつらせたらん後」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
    2. 「町から迎(ムカ)へた医者は私に斯う云った」(出典:こゝろ(1914)〈夏目漱石〉中)
  5. 家族の一員として呼ぶ。招いて身内とする。
    1. [初出の実例]「近江国高嶋郡三尾の別業(なりところ)より、使を遣して三国の坂(さか)中井に聘〈迎也 むかへ〉て納(めしい)れて妃(みめ)と為(し)玉ふ」(出典:日本書紀(720)継体即位前(前田本訓))
    2. 「美しい細君を迎(ムカ)へてまだ一年と立たないうちに」(出典:青年(1910‐11)〈森鴎外〉九)
  6. 敵を待ち受けて防ぐ。
    1. [初出の実例]「乃ち軍を進めて逆(ムカヘ)戦ふ」(出典:日本書紀(720)欽明二三年七月(寛文版訓))
  7. 他の意向を受け入れる。自分の考え・気持などを、相手に合うようにする。迎合する。
    1. [初出の実例]「詳かに聴衆の得意・嗜好・習慣を邀へ」(出典:修辞及華文(1879)〈菊池大麓訳〉説服)
    2. 「それではなんだか先方の気持を迎へるやうでいやだし」(出典:今年竹(1919‐27)〈里見弴〉夏霜枯)
  8. 二日酔をなおすために酒を飲む。迎え酒をする。
    1. [初出の実例]「『宿酔(もちこし)で(とむねをたたき)爰が痛うごぜへますから』〈略〉『うさアねへ、一寸おらが内へ歩びねへ、直に此横町だ、酒は相かはらず樽酒だから、些(ちっと)ばかり迎(ムケヘ)るがいい』」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)

迎えるの補助注記

室町時代ごろから「むかゆ(る)」が使われたが、その明らかな例は「むかゆ」の項にあげた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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