演奏を機械じかけで自動化した楽器の総称。既存の楽器を自動式に改めたもの,通常の演奏もできる両用のもの,自動装置が別で着脱自由なもの,元来自動式として作られたものがある。ピアノ,パイプ・オルガン,ハルモニウム,木琴,ハープ,バイオリン,チェロ,チャイム,カリヨン,オルゴール,電子オルガン,シンセサイザーなどにみられる。最も古いものはカリヨンで,ピンの立てられたローラーをハンドルで回すとピンがハンマーを動かしてベルを鳴らす。オルゴールではピンが直接振動片をはじく。19世紀末ごろからは穴をあけた紙テープで風圧を制御する方法が流行した。動力源には人力,電気,蒸気などがある。最近では磁気テープや磁気ディスク,電子記憶回路などに曲目を記憶させるものが出現した。演奏者の演奏がただちに再生演奏できるものや,プログラムを入力して演奏を自動的にさせるものもある。
執筆者:白砂 昭一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
人間が直接には演奏に関与せず、機械装置によって演奏される楽器の総称。19世紀までの自動楽器は、円筒を手や時計仕掛け、風力などで回転させることで、円筒に植えられたピンがてこを動かし、各種楽器を鳴らす仕組みになっていた。もっとも古いものはカリヨンで、14世紀にはすでに自動演奏されている。16世紀以降は自動のオルガンやバージナルが愛好された。自動オルガンは18~19世紀にイギリスの教会でも使われ、19世紀にはロール紙を用いた機構が発明された。これは、音の高さと長さに応じた穴があけられた紙を送って空気の流れを断続させ、空気の圧力を利用して楽器を演奏する仕組みで、演奏時間が制約されない利点をもつ。20世紀初頭には、実際の演奏を記録できる自動ピアノも開発された。日本では、明治時代にリードを使ったロール紙式の紙腔琴(しこうきん)がつくられた。
[前川陽郁]
…パイプ・オルガンを見本として出発し,現在ではまったく独自の楽器となって急速に普及している電子オルガンの類や,多様な音が自由に合成できるように種々の機能回路を網羅したミュージック・シンセサイザー(シンセサイザー)の類があげられる。(4)自動楽器に応用しているもの。モーターで風圧をつくり,穿孔テープによって演奏機構が風圧で動かされる方式の自動楽器が20世紀初め多く造られた。…
※「自動楽器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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