共同通信ニュース用語解説 「自転車保険」の解説
自転車保険
自転車事故で自身や相手がけがを負ったり、死亡したりした際に保険金が支払われる。損害保険会社が扱う。事故で1億円近くの賠償を命じられたケースがあり、被害者の泣き寝入りを防ぐため、保険加入を義務化する地方自治体が増えた。東京都は4月に義務化した。国土交通省は国全体での義務化を検討したが、制度の整備が困難と判断し見送った経緯がある。
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自転車事故で自身や相手がけがを負ったり、死亡したりした際に保険金が支払われる。損害保険会社が扱う。事故で1億円近くの賠償を命じられたケースがあり、被害者の泣き寝入りを防ぐため、保険加入を義務化する地方自治体が増えた。東京都は4月に義務化した。国土交通省は国全体での義務化を検討したが、制度の整備が困難と判断し見送った経緯がある。
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自転車事故等による運転者本人のけがや被害者への賠償に対して補償する保険。自転車に乗用中、運転操作を誤り衝突や接触事故で他人をけがさせたり、他人の所有物に損害を与えた場合だけでなく、日常生活における事故(たとえばマンションで水漏れ事故を起こし階下の部屋に損害を与えたなど)や借りている物の破損・盗難などで法律上の損害賠償責任を負ったりした場合の補償を目的とする個人賠償責任保険と、裁判や調停などの際に必要となる弁護士費用の補償、および被保険者本人・同居の家族が自転車の乗用中に事故でけがをし、その治療のために入院・通院したり手術を受けたりした場合の補償を目的とする傷害保険を組み合わせた損害保険の種類である。したがって、自転車保険に加入しなくとも、自動車保険や火災保険に加入するときに付帯できるオプションとしての個人賠償責任保険特約や弁護士費用特約、傷害保険などで同様の補償が可能な場合もある。また、自転車を購入するとTSマーク(TS:traffic safety。「交通安全」の意)のシールが貼付されていることがあり、自転車安全整備士が点検した日から1年間、賠償責任保険と傷害保険がついている。ただし、TSマークの色(青色、赤色)によって補償内容に違いがあることに注意が必要である。
警察庁の交通事故統計によれば、自転車事故の件数は減少傾向にあるが、交通事故に占める自転車事故の割合は高まっている。また、自転車乗用中の死傷者の年齢層別では、とくに若年層と高齢者の割合が多い。自転車は道路交通法で定める軽車両の一種であり、運転ルールが定められているにもかかわらず免許制ではないため、警察庁の交通事故統計でも自転車事故による死傷者は法令違反を犯していたケースが多い。自転車と歩行者、あるいは自転車どうしなどの事故で相手に対し深刻な被害を与え、高額な賠償金支払い責任を負う事故も増えている。それゆえ、被害者の保護や加害者の賠償資力の確保が必要になるが、自転車の場合には自動車損害賠償責任保険のような被害者救済を目的にした強制加入の保険が存在しない。
2010年代中ごろ以降、自転車事故の多い自治体では自転車の保険に関する条例を制定し、住民の自転車保険加入を義務化するなど、自転車事故対策を強化する自治体も増えつつある。自転車保険は1980年(昭和55)に自転車総合保険として認可を受け、販売が開始された。販売後、しばらくの間はあまり業績が上がらなかったが、自転車事故が増加するにつれ、徐々に加入件数が増加している。損害保険会社と提携し、住民向けに自転車保険契約の加入を促進している自治体もある。
[押尾直志 2021年9月17日]
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