般化(読み)はんか(英語表記)generalization

  • はんか〔クワ〕
  • 般化/汎化

翻訳|generalization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

心理学用語。汎化とも書く。 (1) 条件づけ過程において,ある刺激に対して特定反応が起るようになると,類似の刺激に対しても同じ反応が生起するようになる。これを刺激般化という。これに対して,ある刺激に対し反応するように条件づけられたのち,その刺激に対して類似の反応が生起する場合,これを反応般化という。 (2) 一般化ともいう。一般的概念が形成される思考過程概括作用ともいわれる。

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デジタル大辞泉の解説

generalization》心理学で、一定の条件反射が形成されると、最初の条件刺激と類似の刺激によっても同じ反応が生じる現象(刺激般化)。これに対して、同一の刺激がさまざまな反応を引き起こすときを反応般化という。

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最新 心理学事典の解説

ある特定の刺激のもとで反応が強化されたために,他の刺激のもとでもその反応が増大することを刺激般化stimulus generalizationという。このように刺激般化とは,ある刺激のもとで強化された反応が,他の刺激のもとでも生じる(増大する)ことを指す。一方,ある特定の反応が強化されたために,それと類似した反応も増大することを反応般化response generalizationという。反応般化は,すでに獲得されている反応から徐々に新しい反応を形成していく行動形成(接近法)に必須の過程である。

【般化勾配generalization gradient】 ある刺激(S+)のもとで反応が強化され,その刺激が反応を制御するようになると,反応の出現頻度は,刺激の物理的特性が変化するにつれて規則的に減少する。これを般化勾配といい,S+から他刺激への刺激般化の程度を表わす。ジェンキンスJenkins,H.M.とハリソンHarrison,R.(1960)は,ハトを被験体とし,特定の周波数の音(S+)と無音(S-)とを暗間隔を挟んで繰り返し呈示した。S+のもとでのキーつつき反応は強化し,S-のもとでのキーつつき反応は強化しなかった(分化強化differential reinforcement)。弁別行動が形成された後,さまざまな周波数の音を呈示し,般化勾配を測定した。628ページ図1の上図のように,周波数次元上でS+から距離が遠くなるに従って反応が減少する凸型の勾配が得られた。一方,S+だけを呈示して分化強化を行なわないと,図1の下図のように,音刺激の有無や周波数による差が見られなかった。強化された反応が音刺激とは無関係に生起しただけなので,刺激般化とは区別される。

 般化勾配の測定法には以下の三つがある。図1の上図で,急峻な勾配を示した3羽には維持性般化法,他の2羽には消去法が用いられていた。

1.消去法 S+を含むすべての刺激への反応を強化しない。呈示順序を変えて刺激を反復呈示することによって,無強化(消去)による反応減衰の順序効果を相殺する必要があるが,刺激次元上の広い範囲にある類似性が低い刺激間の反応傾向の差を見るのに適している。一般にS+への反応は,強化を中止するとなだらかに反応が減衰していく変動時間間隔強化スケジュール(VIスケジュール)で強化しておく。

2.維持性般化法 S+への反応の一部を強化する。S+への反応は維持されるが,他刺激との弁別の過程が含まれるので,S+を頂点とする急峻な勾配が得られる。刺激次元上の狭い範囲にある類似性が高い刺激間の反応傾向の差を見るのに適している。

3.全強化法 すべての刺激への反応を等しく強化する。S-からの刺激般化を見る場合(後に述べる抑制性般化)のように,ほとんどの刺激への反応がゼロ近くまで減少し,明らかな勾配が得られにくい場合などに用いられる。強化抵抗法ともいう。

【頂点移動peak shift】 刺激次元上の特定の刺激(S+)への反応を強化し,同一次元上の他の特定の刺激(S-)への反応を消去する(次元内弁別)と,S-への反応の減少に伴いS+への反応が増加して弁別が完成する(行動対比)。ハンソンHanson,H.(1959)は,550nm(ナノメートル)の色光をS+,555nm,560nm,570nm,590nmをそれぞれS-とする4群のハトに,継時弁別訓練を行なった(各刺激呈示時間の間に暗間隔が挿入された)。弁別訓練後,消去法で得られた般化勾配(図2)の反応数が最も多いところ(正の頂点)は,S+からS-とは反対方向に移動した。正の頂点移動とよばれ,移動の程度は,刺激次元上でS+とS-の距離が近く,弁別が困難なほど大きい。反応数が最も少ないところ(負の頂点)は,S-からS+とは反対方向に移動した。これは,負の頂点移動とよばれる。一方,S+だけを暗間隔を挟んで呈示した統制群の般化勾配はS+に頂点をもち,勾配の傾斜は緩やかだった(暗間隔中に反応はほとんど起きないが,光刺激S+に対して暗間隔をS-と考えれば,統制群はジェンキンスとハリソンの分化強化条件に対応する)。すなわち,S+と同一次元のS-への反応が減少して弁別が完成した実験群でだけ,頂点移動が生じた。

 行動対比が生じない(S-への反応の減少がS+への反応の増加に関与しない)弁別課題には,⑴色光と垂直線のようにS+とS-の次元が異なる次元間弁別,⑵S+とS-を同時呈示してS+への反応を強化する同時弁別(S+とS-の差異が十分に大きいと,ほとんどS-への誤反応が生じないで弁別が完成する),⑶S-への当該反応以外の反応を強化することによって当該反応が減少し(省略訓練),S+との弁別が完成する場合,⑷S-への反応がほとんど生じないうちに弁別が完成する無誤学習errorless learningなどがある。これらの弁別訓練後も,ハンソンの統制群と同様に,頂点移動が生じないことが知られている。

【抑制性般化】 頂点移動を説明する理論の一つは,スペンスSpence,K.(1937)の弁別理論と同様のS+を頂点とする興奮性般化勾配と,S-を頂点とする抑制性般化勾配を仮定するものだった。それらを刺激次元上で加算した反応強度には,正と負の頂点移動が生じる(図3)。S-を中心とする抑制性般化を示すためには,S+とS-を異なる刺激次元から選び(次元間弁別),S-次元上で般化テストを行なう。S+が白色光,S-が白色光上の黒色垂直線の場合,黒色垂直線が反応を抑制する手がかりになる。黒色線分の傾き次元上で般化テストをすると,S-で反応が最も少なく,S-から遠ざかるほど反応が増加する凹型の抑制性般化勾配が得られる。 →強化 →選択行動 →転移 →弁別学習


〔実森 正子〕

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