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色彩調節 シキサイチョウセツ

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デジタル大辞泉の解説

しきさい‐ちょうせつ〔‐テウセツ〕【色彩調節】

色彩が人間に与える心理的な効果を利用して、疲労防止・能率向上・災害防止などに役立たせるため、色を選んで用いること。カラーコンディショニング

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百科事典マイペディアの解説

色彩調節【しきさいちょうせつ】

カラーコンディショニングとも。生活環境作業環境において色彩の配置を適切にし,保全,能率,衛生,快適など感覚上の効果を向上させること。色の与える寒暖の感覚,軽重感,刺激と鎮静などの効果を利用したもので,1920年代米国で実施され,日本では戦後大幅にとり入れられて工場の安全,能率を高めた。

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世界大百科事典 第2版の解説

しきさいちょうせつ【色彩調節 colour conditioning】

カラーコンディショニングともいう。色彩の生理的効果や心理的効果などを活用して,配色によって安全で能率的な作業環境や健康的で快適な生活環境を創出する手法をいう。
[沿革]
 色彩調節の起源とされている挿話は,1925年ニューヨークにある病院手術室の壁に関するものである。外科医が手術中,手術室の白い壁がまぶしく,かつその上に青緑の幻を見るということを,デュポン社の色彩顧問であるF.ビレンに相談した。調査の結果,青緑の幻というのは,手術中医師が血を凝視したあと,白壁を見たときに生ずる血の色の補色,青緑色の残像であることがわかり,白壁を淡い青緑に変えることによってこの問題を解決した。

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大辞林 第三版の解説

しきさいちょうせつ【色彩調節】

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

色彩調節
しきさいちょうせつ

カラー・コンディショニング」のページをご覧ください。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

色彩調節
しきさいちょうせつ
colour conditioning

学校、病院、工場、交通施設などの建築物、工作物、装置、機械、乗り物などに対し、材料の生地仕上げや表面塗装に、色彩(光沢感、材質感を含む)の心理・生理・物理的効果を利用して、建築や産業環境の安全・衛生管理と快適性の向上を図ることをいう。カラーコンディショニングということもある。[松浦邦男]

色彩計画と色彩調節

色彩計画(カラープランニング)は色彩調節よりすこし広い意味で使われている。色彩調節を病院、工場、場合によっては交通施設、交通機関などの安全、能率や衛生などの管理に重点を置く「色彩管理」に近い定義とする場合は、色彩計画はこれに加えて建築物や地域の一般的な計画に含まれている色彩に関するすべての計画を意味している。この色彩調節の項では、初めに述べた定義のように、建築などの色彩計画を含めて解説することとする。別に色彩設計ということばもあるが、これはほぼ色彩計画に相当するとしてよい。たばこのケースのように比較的小さいものの色彩を取り扱う場合も色彩設計(色彩デザイン)ということがあるが、これは通常、色彩調節のなかには含まれない。[松浦邦男]

変遷

建築物や都市のある地域に色彩計画を積極的に行うことは古くから行われてきた。れんが造、石造が主であったオリエントやヨーロッパではむしろ少なく、木造が多く耐久性を増すため塗装を行ってきた中国に多くの例がある。元、明(みん)、清(しん)の都城であった北京(ペキン)の紫禁城は、優れた彩色と製陶の技術を駆使して、帝王を意味する黄の瑠璃(るり)(釉薬(ゆうやく))瓦(かわら)と紅牆(こうしょう)(赤壁)とにすべて統一しており、積極的な色彩計画といえよう。日本では近世の京の町屋(まちや)が、とくに意図は明確ではないがべんがら(弁柄)という赤色顔料によって木部外面を仕上げ、町の外観の統一を図った例がある。建築物内部については洋の東西を問わず豊富な色彩が用いられてきたが、これらは宗教的または政治的伝統様式か、施主や建築家の好みによる意匠であって、以下に述べる現代の色彩調節の考え方とは別のものであった。
 20世紀に入り確実にその地位を築いてきた近代建築では新しい材料の質感を生かすことに重点が置かれていたが、1920年代に入るとようやく色彩調節の芽が出始めた。このころの挿話として、ニューヨークの病院の外科医が長時間の手術中に手術室の白壁に青緑の幻をみて苦痛であることを訴えたが、血の赤の生理的補色残像である薄い青緑に壁の色を変えることによってこの障害を除いたということがあった。この例は、色彩の生理的効果を利用した色彩調節の初期の成功例といえよう。しかし、その本格的な普及は第二次世界大戦中のアメリカの軍需工場においてであるといわれている。当時、工員不足によって雇用した未熟練の女子工員の職場において、危険な箇所を示す黄赤、立ち入り範囲を示す白線、機械を明るくみせる薄緑、文字盤を見やすくする配色などの色彩調節が実施され、生産性の向上、勤労意欲の高揚などの効果をあげた。
 日本では第二次世界大戦中「迷彩」つまり建物や兵器を敵からの攻撃目標にならないようにする色彩技術が発達していた。これらの技術の蓄積は、戦後、とくにアメリカにおいて塗料会社の宣伝の力もあったが、色彩調節の急激な普及となり、工場以外の病院、学校、商店、事務所などへの実施と発展した。日本でもこの影響を受けて1950年代はとくに盛んであったが、この時期を過ぎると、その技術は各分野の色彩計画のなかに定着してゆき、事々しく色彩調節を行うことは少なくなってきた。つまり、建築の色彩は建築家、家具の色彩はインテリア・デザイナー、自動車などの工業製品の色彩はインダストリアル・デザイナー、それぞれの意匠設計のなかに当然のこととして組み込まれてしまった。今後もこの傾向は続き、色彩調節ということばよりも色彩計画(色彩設計)、色彩管理がより多く使用されると考えられる。[松浦邦男]

安全と識別のための色彩

色彩調節の重要な指導原理の一つとして、安全、災害防止を確実にするために、色彩によって建物、施設、設備を識別し、また標識に色彩を用いる。
 日本では数多くの日本工業規格(JIS(ジス))によって規定されている。もっとも基本的なものは「安全色彩使用通則」(JIS Z 9101)で、建築物のほか建設作業場、駅、道路、乗り物などの災害防止と救急体制のための施設または箇所の表示に使用する色彩を定めている。これらはもちろん色彩の心理・生理的効果を応用しているもので、たとえば赤はその抽象的連想である熱烈、危険を、あるいは高い誘目性を、また黄は黒背景の場合の高い視認性を、さらに緑は抽象的連想である平和、希望をそれぞれ考慮している。設備の管系統の色彩は「配管識別」(JIS Z 9102)により規定され、安全の増加と管系統の取扱いを容易にする目的をもっている。管内の物質を色彩で表示する方法のほか、その名称や状態を記号や文字で表示する方法など識別方法は多様である。安全の確保を図る目的のため、「安全標識」(JIS Z 9103)が定められ、防火、禁止、危険、注意、救護、用心、放射能、方向、指導の9種類の標識がある。各標識は1種、2種、3種に区分され、1種は色彩と形で主要な意味を与え、2種は1種標識に特定の字句を加え、さらに3種はこれに説明的字句を書き加えて意味の理解を助けている。[松浦邦男]

工場の色彩調節

工場は色彩調節をもっとも効果的に実施できる場所であり、どの工場も多かれ少なかれ利用している。工場の色彩は通常、焦点色、機械色、環境色の3部分に分けて考える。焦点色は、機械のなかの視覚的に重要な部分である注視点付近、操作する部分、動く部分などに行うもので、周囲より明度を高くしてすばやく正確に見やすく、つねに注意が行き届くようにする。たとえば鋳物、鋼、アルミニウムなどの加工には明るい灰黄(マンセル表色記号1.5~2.5Y 8/3)、黄銅(真鍮(しんちゅう))、銅などでは明るい灰黄緑(8.5~10GY 7~8/3.5~4)が推奨されている。機械色は、機械の本体の色彩で青みのあるグレー(7.5B 6/1)や明るい灰緑(2.5G 5/2)など、目に刺激を与えない、また焦点色に対して強すぎる対比にならない色彩がよく使われる。環境色は、機械を取り囲む工場内部空間の色彩で、工場業種あるいは作業種別によって適切な計画を行う。化学工業などの中央制御室では、全体として落ち着いているが眠気を催すことがなく、要所がはっきり目だつ配色とする。天井は白(N 9.5)またはごく薄い黄(2.5Y 9/4)、上壁はごく薄い青(2.5PB 8/2)、腰壁は灰青(2.5PB 5.5/3)、床は明るい灰色(N 7)が勧められている。女子の多い組立て流れ作業工場では明るいさわやかな色彩として、天井は白、上壁はごく薄い黄赤(5YR 8/2)、腰壁は明るい灰色の例がある。細密な視作業の行われる機械工作工場では、天井は白またはごく薄い緑(2.5G 9/2)、上壁もごく薄い緑(2.5G 8/2)、腰壁は灰緑(2.5G 5.5/3)とし、平静で寒すぎない環境をつくる。色合わせなど色彩検査をする場所では、室内表面間の相互反射による色ずれを避けるため、天井は白(N 9.5)、上壁も白(N 8.0)、腰壁は灰色(N 5.0)とするが、これだけでは単調すぎるので、回り縁、幅木、扉などに赤、青の強調色を使用する。これらに加えて工場では、前項で述べた安全と識別のための色彩を十分活用しなければならない。[松浦邦男]

建築の色彩計画

工場のように安全と生産性向上を目的とした管理的な色彩調節が実施できるのと異なり、一般の建築では伝統は長く、美的追究が建築家の重要な目標であるので、その色彩計画は単純明快に解決できるものではなく、多くの条件を考慮した総合判断の結果であることが多い。したがって建築の色彩計画においては、この方面に優れた能力を有する建築家による作品や、色彩をできるだけ抑え、素材の色彩や材質感を生かした建築設計にむしろ成功例がみられ、平均的建築家の作品の色彩計画の水準は低いといわざるをえない。これらの水準を標準にまであげ失敗を少なくする目的で、色彩調節の指導原理をうまく生かし、成功した色彩計画例を参考にした標準的な色彩が提案されている。
 以下は特別な色彩の機能を利用する手術室や、オーディトリアムのように形が特別で装飾的要素の多いものを除く事務室、教室、病室などに適用されるものである。
(1)天井は白で、色彩をつけたい場合でも明度(マンセル記号。以下同じ)9以上、彩度(マンセル記号。以下同じ)は黄、黄赤系で2以下、青系で0.5以下とする。
(2)壁は赤、青緑、紫、赤紫は避け、明度は8~8.5、彩度は2以下とする。
(3)腰壁はなるべくつけず壁と同一にする。
(4)幅木は壁と同色相とし、明度は4~7、彩度は3以下とする。
(5)窓枠の内側はなるべく白または白に近くし、明度9以上、彩度1以下とする。
(6)扉は一般に壁とはっきり異なる色彩がよく、明度は1~2の差をつけ、彩度は1~2高くする。色相も変えてよい。
(7)床は明度は5~6で低いので色相は各種使えるが、紫、赤紫は避け、彩度は4以下とする。
(8)日よけは白がよく、ごく淡い色彩ならば失敗は少ない。[松浦邦男]

標準色

色彩設計において、よく使用する色彩がある特定の傾向をもつことは、建築物に使用されている色彩の調査や、建築材料の色彩測定などの数値をみれば明らかで、たとえば建築の内部色彩は色相では木膚(きはだ)色(5YR~5Y)、明度では7~8、彩度では2付近が多い。したがって使用頻度の多い色彩を中心に設計に使いやすい標準色を決めておくことは有用である。その利点として、(1)設計の統一、(2)設計の迅速簡易化、(3)設計の最低水準の保証、(4)設計者の指定の確実性、(5)施工管理の利便性、(6)技術の蓄積、などがある。文部科学省の幼稚園用やイギリス文部省の学校用のもの、日本電信電話株式会社などの自社建物用の標準色がつくられている。[松浦邦男]

ゾーニング

建築物や地域をそれらの機能、使用目的によって部門や地帯に分けることをゾーニングというが、色彩計画にも適用できる技術である。病院を実例にとれば、ゾーンzoneを分け、外来診療部は患者の皮膚の色が正確に見え、また患者に恐怖感を与えないよう黄赤系とし、病棟部は患者の日常生活を行う場所であることから緑系の色彩ゾーンとすることなどである。各ゾーンのなかでも機能の似た部屋をまとめグルーピングを行い、各グループの色彩を決めることもある。病院以外に百貨店で各階ごとに床の色彩を大胆に変えた例や、住宅団地の外壁の一部あるいは扉の色彩を各ゾーンで変え、団地建築群の単調を避けた例もある。[松浦邦男]

建築外部色彩と景観

建築外部の色彩は室内と同じ考え方で取り扱えることもあるが、異なる点もある。第一に、室内の色彩が機能的であるのに対し外部は装飾的であり、また内部が人や家具を包むあるいは背景となるのに対し外部はそれ自身を見せる効果をもつことであるが、建築外部が背景となることもあるので見せることにとらわれすぎてはならない。第二に、建築は自然環境の色彩と調和するものでなければならない。草木の緑を背景とするとき白は明快であり、れんがや塩焼瓦(しおやきがわら)のような黄赤系は補色対比効果による調和がある一方、青は緑と明度差も色度差もあいまいでよい調和とはいえない。第三に、外部色彩は周辺の人工環境、すなわち近隣建物や歴史的町並みなどとの関係に留意しなければならない。ヨーロッパでは近代的な都市でも住民の社会意識が強く、新しい建物を周辺とあわせることが常識であるが、日本ではそのような伝統は絶え、無秩序な色彩の集合となっている。彩度の高い青瓦の流布はそのもっともひどい例であろう。[松浦邦男]
『乾正雄著『建築の色彩設計』(1976・鹿島出版会) ▽日本色彩学会編『新編色彩科学ハンドブック』(1980・東京大学出版会)』

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