危険箇所や避難経路などの安全性を、だれもが遠くからひと目でわかるように示す色。日本産業規格(JIS)によって規定される。安全色ともいわれる。赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫の6色に、対比補助色として白、黒を加えた8色がある。危険防止や緊急事態への対応を迅速・正確に識別・行動してもらう目的で、1951年(昭和26)にJISの鉱山保安警標として導入され、1953年にJISの安全色彩使用通則として制定された。安全色彩は火気厳禁、足元注意、非常口、消火栓など公共の場での案内板や道路の交通標識などに広く使われている。赤には「防火」「禁止」「停止」「緊急」、黄赤には「危険」「航海・航空の保安施設」、黄には「警告」「注意」、緑には「安全状態」「進行」、青には「指示」「誘導」、赤紫には「放射能」、白には「通路」などの意味があり、黒は文字、記号、矢印などに使用するほか、黄赤や黄、白を引き立てる補助色としても使用する。安全色彩は色相、明度、彩度の色の3属性を定量的に表すマンセル値(Munsell color system)によって定められている。
2018年(平成30)、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会(2021年開催)に向けて安全色彩が13年ぶりに改正され、色覚に障害がある人を含めてだれもが識別しやすい「ユニバーサルデザインカラー」とされた。従来の安全色彩に対し、弱視、色覚障害、白内障など一部の人から「赤が暗くて黒と紛らわしい」「青と緑の区別がつきにくい」といった問題点が指摘されていたため、赤、黄赤、緑には黄みを加え、黄は赤みを抜いて明度を上げ、青も明度を上げ、赤紫には青みを加えた。同時に、蛍光にする場合のほか、パソコン画面、プリンター出力時などの色彩の推奨値も初めて定めた。
[矢野 武 2018年12月13日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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[色彩調節の手法]
色彩調節はその目的から,(1)作業環境の安全確保や能率の向上,(2)目の健康の維持,(3)快適性の付与の三つに分けられる。 (1)のための手法としてはゾーニング,安全色彩,識別色等が代表的なものである。地域や建物をその用途や機能によって区分することをゾーニングといい,区分された各ゾーンについては,それぞれの中で,さらに用途や機能の似た室をひとまとめにする(グルーピングという)。…
※「安全色彩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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