芦北(読み)あしきた

改訂新版 世界大百科事典 「芦北」の意味・わかりやすい解説

芦北[町] (あしきた)

熊本県南西部,八代海に面する葦北郡の町。2005年1月旧芦北町と田浦(たのうら)町が合体して成立した。人口1万9316(2010)。

芦北町の北西部を除く旧町。葦北郡所属。人口1万7021(2000)。北部は九州山地に属する山々が,南部は国見山に連なる山々が広く占める。東境沿いに球磨川が北流し,また佐敷・湯浦両川が北西流して八代海に注ぐ。中心集落の佐敷は古代に西海道の駅家が置かれた水陸交通の要地で,中世には佐敷城(花岡城)が築かれ,村上,田浦,佐敷,相良島津,加藤各氏が城主となっている。1592年(文禄1)の加藤清正の時代には島津方の武将梅北盛定が佐敷城を乗っとった梅北の乱がおきている。江戸時代は熊本藩の衛士が置かれ,港町宿場としてにぎわった。現在も国道3号線,肥薩おれんじ鉄道線が通じ,また天草とカーフェリー(2005年より休航)で連絡する佐敷港があり,交通の要所である。農業を基幹産業とし,畜産,ミカン栽培が盛ん。石灰石の採掘が行われ,製材業,エビの打瀬網(うたせあみ)漁も行われる。八代海の沿岸はリアス海岸をなし,芦北海岸県立自然公園に指定されている。

芦北町の北西部の旧町。葦北郡所属。人口5352(2000)。八代海に臨み,北東は八代市に接する。九州山地南西端にあたる山地が海岸まで迫り,平地は田浦湾岸にみられるにすぎない。赤松太郎・佐敷太郎両峠が北と南にあり,古くは交通の難所であったが,現在は肥薩おれんじ鉄道線,国道3号線が通じる。山麓の傾斜地ではアマナツの栽培が盛んで,1936年以来,電極,カーボンブラックなどの製造業も立地し,製品は海外にも輸出されている。海岸付近は芦北海岸県立自然公園に属する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報