翻訳|car ferry
自動車と旅客を同時に輸送する船。自動車だけを運ぶものもあるが、その数は少ない。ヨーロッパでは古くから発達した船種であるが、日本では自動車の普及、道路網の整備に伴って1970年(昭和45)ごろから急激に増加し、総トン数で数百トンの小型のものから1万トンを超える大型のものまで建造されている。船首と船尾には自動車を陸岸へ渡すためのランプウェーramp wayの設備があり、自動車は運転者の運転で搬入、搬出される。上甲板(こうはん)またはその上の1層ないし2層が車両積載用の甲板であり、その上の1、2層が旅客用の甲板となっている。長距離カーフェリーのなかには、純客船クラスの豪華な客室設備をもつものもある。旅客も運ぶカーフェリーは法規上、旅客船となるので、構造、設備などにもっとも厳しい安全基準が適用される。さらに、ガソリンを積んだままの車を積載しているため、その転倒防止や消防のために特別の設備が要求される。また出入港の回数が多いので、可変ピッチプロペラや、左右に水流を噴出して船の旋回を容易にするバウスラスタbow thrusterを設けて、操縦性の向上を図るものが多い。小型の船では、プロペラを船首と船尾にもち、離着岸の際、反転しなくてもすむものもある。
カーフェリーは、乗用車や、貨物を積んだままのトラックと運転者や同乗者を同時に運ぶほか、車とは関係ない旅客をも運ぶ。また、車を搬入した運転者は乗船せず、入港地で車だけが引き取られるという輸送形態も多い。日本では、カーフェリーという輸送手段は初めてのものであったため、道路交通や鉄道輸送との競争が生まれ、人や物の輸送構造に新しい変化をもたらした。
[森田知治]
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…河川,海峡,内海などで隔てられた2地点を船で連絡すること。いわゆる渡し船による小規模なものから,列車ごと航送するものまでさまざまな形態があるが,現在では旅客輸送とあわせて自動車航送を行うカーフェリーが代表的である。今日のフェリーの原型は1850年にイギリスで初めて貨車を積んだ歴史にまでさかのぼる。…
※「カーフェリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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