佐敷(読み)さしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐敷」の意味・わかりやすい解説

佐敷(沖縄県)
さしき

沖縄県島尻(しまじり)郡にあった旧町名(佐敷町(ちょう))。現在は南城市(なんじょうし)の北部を占める。旧佐敷町は1980年(昭和55)町制施行。2006年(平成18)玉城(たまぐすく)村、知念(ちねん)村、大里(おおざと)村と合併、市制施行して南城市となった。旧町域は沖縄本島南部の知念(ちねん)半島の北側、中城(なかぐすく)湾に面する地で、石灰岩に覆われた台地が半円状に馬天港(ばてんこう)を囲む。国道331号が湾岸低地中央部を走る。15世紀前期、当地から出た尚巴志(しょうはし)は馬天港によって中国、日本本土と貿易し、富強を図り、三山琉球(さんざんりゅうきゅう)を統一(1429)した。馬天港は、旧藩時代に山原船(やんばるせん)(木綿帆を掲げた帆船で交易船)の出入りしていた港でもあった。1947年に沖縄民政府が石川市(現、うるま市)から新里(しんざと)地区の高台に移り、約3年間政治の中心でもあった。現在、サトウキビ栽培を中心とする純農村。名所旧跡として、尚思紹(ししょう)・尚巴志の旧居城の佐敷上城跡(さしきうえぐすくあと)、佐敷ようどれといわれる尚巴志の父尚思紹の墓がある。

[堂前亮平]

『『佐敷村誌』(1964・佐敷村)』『『佐敷町史』(1984・佐敷町)』


佐敷(熊本県)
さしき

熊本県葦北(あしきた)郡芦北町(あしきたまち)の中心地区。旧佐敷町。肥薩(ひさつ)おれんじ鉄道が通じる。中世初期創建と伝えられる佐敷城(国指定史跡)がある。佐敷湾に注ぐ佐敷川下流に並ぶ町並みは、薩摩(さつま)街道より分岐する人吉(ひとよし)街道の当時のおもかげをしのばせてくれる。また、芦北のお諏訪(すわ)さんで親しまれている佐敷諏訪神社例祭(4月)の奉納相撲(ずもう)は県内外に知られる。

[山口守人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐敷」の意味・わかりやすい解説

佐敷
さしき

沖縄県沖縄島南部,南城市北部の旧町域。中城湾南岸に位置する。1980年町制。2006年玉城村,知念村,大里村と合体して南城市となる。旧町名は近世以来の間切(まぎり。行政区画)名による。サトウキビ栽培が中心。ヤシガジュマルなどの熱帯植物が多く見られる。北に開ける小湾にある馬天漁船の出入りが多い。15世紀初頭,三山(さんざん。14~15世紀,沖縄島に分立した三つの小国家)を次々に滅ぼし,沖縄に初めての統一政権を立てた尚巴志(→尚氏)はこの地の生まれで,のちに佐敷の按司となった(→琉球)。

佐敷
さしき

熊本県南西部,八代海に臨む芦北町の中心地区。鹿児島街道の旧宿場町で,天草からの上陸地にもあたる要地。江戸時代島津 (薩摩) に対する肥後防衛の衛士が置かれた。沿岸部は屈曲の多いリアス海岸をなし,付近に『万葉集』で詠まれた「野坂の浦」の歌碑がある。アマナツミカン,木材,石灰石の集散地。

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百科事典マイペディア 「佐敷」の意味・わかりやすい解説

佐敷[町]【さしき】

沖縄県,沖縄島南東部を占める島尻郡の旧町。中城(なかぐすく)湾の支湾馬天湾に面する農村地帯で,サトウキビ,野菜,花卉(かき)を栽培する。15世紀初め琉球を統一した第一尚氏尚巴志の出身地。2006年1月,島尻郡玉城村,知念村,大里村と合併し市制,南城市となる。10.60km2。1万1629人(2003)。
→関連項目尚巴志

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改訂新版 世界大百科事典 「佐敷」の意味・わかりやすい解説

佐敷 (さしき)

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世界大百科事典(旧版)内の佐敷の言及

【芦北[町]】より

…北部は九州山地に属する山々が,南部は国見山に連なる山々が広く占める。東境沿いに球磨川が北流し,また佐敷・湯浦両川が北西流して八代海に注ぐ。中心集落の佐敷は古代に西海道の駅家が置かれた水陸交通の要地で,中世には佐敷城(花岡城)が築かれ,村上,田浦,佐敷,相良,島津,加藤各氏が城主となっている。…

※「佐敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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