家庭医学館 「若年性関節リウマチ」の解説
じゃくねんせいかんせつりうまち【若年性関節リウマチ Juvenile Rheumatoid Arthritis】
[どんな病気か]
16歳未満の子どもにおこる、関節炎を主とする病態で、つぎの3つの病型に分類されます。
●全身型(ぜんしんがた)
スチル病(びょう)とも呼ばれます。5歳以下の子どもに多く、男児にも女児にもおこります。
関節痛に加え、全身のだるさ(倦怠感(けんたいかん))が強く、39℃を超える発熱が2週間以上続き、リンパ節の腫(は)れと、サーモンピンク色の紅(あか)い発疹(ほっしん)をともないます。
ふつうは、関節に変形を残さずによくなりますが、ほかの病型に移行することもあり、注意が必要です。
●少関節型(しょうかんせつがた)
発症後6か月以内で、4か所未満の少数の関節にだけ病変がみられるものです。ふつう、膝(ひざ)や肘(ひじ)などの大きな関節がおかされます。
6歳未満の女児に多くみられます。目の虹彩炎(こうさいえん)(「虹彩炎/虹彩毛様体炎」)をともなうことがあります。ほとんどの場合、関節の変形を残さず自然によくなります。
●多関節型(たかんせつがた)
おとなの関節リウマチが、子どもに発病したタイプです。ふつうの関節リウマチと同じように、長い期間ののちに関節が変形します。
成長期の関節がおかされるために、骨の成長障害をおこすことが多く、低身長、小顎症(しょうがくしょう)、短指症(たんししょう)などが、よくみられます。早期から治療をすれば、骨の成長障害は予防できます。
[検査と診断]
リウマトイド因子は、多関節型では陽性になることが多く、ほかの病型では陰性になるのがふつうです。
全身型では、赤沈(せきちん)やCRPが高い値を示し、白血球(はっけっきゅう)の増加など、強い炎症症状がみられるため、感染症、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)、髄膜炎(ずいまくえん)など、ほかの炎症性の病気と見分ける必要があります。
◎病型により治療もちがう
[治療]
病型によって治療法がちがいます。全身型で高熱が続く場合は、入院したうえで、ほかの病気との鑑別をするための検査をします。
アスピリンや非ステロイド抗炎症薬が使われますが、内臓障害などがある場合は、ステロイド薬が第一に使われます。
少関節型は、一般に痛みも軽く、しだいによくなる場合が多いので、ふつうは非ステロイド抗炎症薬だけが使われます。
多関節型は、おとなの関節リウマチと同じで、治療方針もほぼ同じです。ただし、ステロイド薬によって骨の成長に影響が出ることがあるので、注意が必要です。
[日常生活の注意]
成長期の子どもの関節の病気であり、日常生活には十分な配慮が必要です。
全身型では、関節炎よりも全身症状が主体ですので、発熱のあるときには、十分な安静をとるようにします。
少関節型は、大きな関節に痛みがあるため、日常の動作が不自由な時期がありますが、比較的短期間でよくなるため、後に機能障害が残ることはあまりありません。
問題は、多関節型です。関節炎が長期にわたりますので、関節の変形や筋肉の萎縮(いしゅく)を予防することが非常に重要です。
症状は、一般に朝に強く現われ、午後から軽くなることが多いので、関節痛の軽い時間に、関節の伸展(しんてん)、屈曲運動(くっきょくうんどう)を行ないます。
関節に負担をかけるような運動は避け、水泳やサイクリングなどを励行します。
学校生活には積極的に参加させるべきですが、子どもができるだけストレスなく学校生活を送れるように配慮する必要があります。
体育や校外行事などへの参加を制限することが必要な場合もありますので、主治医や担当の教師と十分に話し合う姿勢がたいせつです。