茶碗蒸(読み)ちゃわんむし

精選版 日本国語大辞典 「茶碗蒸」の意味・読み・例文・類語

ちゃわん‐むし【茶碗蒸】

  1. 〘 名詞 〙 茶碗に具と汁を入れて蒸す料理。特に、茶碗に魚、貝、鶏肉かまぼこぎんなん椎茸などを入れ、出し汁や出し汁でのばした卵汁をそそいでそのまま蒸した料理。茶碗焼き。
    1. [初出の実例]「茶碗蒸 鱧(はむ)おろして皮ばかりを水一升余入て半分にせんじ詰、此しるにて右の身を摺たぶたぶするほどにして、茶わんに入むし、葛あんかけ、わさび。汁を捨ることなかれ」(出典料理山海郷(1750)四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「茶碗蒸」の意味・わかりやすい解説

茶碗蒸し
ちゃわんむし

蒸し物料理の一種。味と栄養併備の純日本料理であるが、時代によって材料の相違がある。材料には白身魚エビアナゴ、鶏肉、シイタケユリ根ギンナンなどを適当な大きさに切り、下煮をして軽く味つけをしておく。これに卵汁を加えて蒸し上げる。卵汁は卵1にだし汁3倍の割合を標準とする。蒸し方は、蒸し器に蒸気があがっているときに強火で1~2分蒸す。卵汁の周囲が白くなったら火を弱くし、ふきんをかけて茶碗の蓋(ふた)をすこしずらして、15~18分間蒸す。竹串(たけぐし)を通してみて、つゆが澄んでいればできあがりである。そば料理の茶碗蒸しはそば切りを加える。うどんが加わったものは小田巻蒸しという。

多田鉄之助

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百科事典マイペディア 「茶碗蒸」の意味・わかりやすい解説

茶碗蒸し【ちゃわんむし】

蒸物料理の一種。吸物の代りにもする。鶏卵を攪拌(かくはん)し約3倍量のだしを加え,具を入れた蒸茶碗に注ぎ入れ中火で蒸す。具は白身肉,鶏肉,エビ,シイタケ,銀杏(ぎんなん),ミツバなどが適し,うどんを入れた小田巻蒸し,豆腐を入れた空也(くうや)蒸しなどもある。
→関連項目

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「茶碗蒸」の解説

ちゃわんむし【茶碗蒸し】

茶碗に具を入れ、だし汁・溶き卵・調味料を混ぜて注ぎ、茶碗ごと蒸してやわらかく固めた料理。具は鶏肉・えび・みつば・しいたけ・ぎんなんなどをよく用いる。

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世界大百科事典(旧版)内の茶碗蒸の言及

【卵】より

…動物の雌が体外に産み出す卵子のこと。卵細胞は動物の諸細胞の中で最大で,とくに鳥類の卵は大きく,最小のハチドリの1種の卵でも1.2cm×0.8cm,最大のダチョウ卵に至っては16cm×12cmもの大きさがある。鳥類では,体の大きな鳥ほど大きな卵を産む傾向がある。ただし,体重に対する卵重の比は,大きな鳥ほど小さくなる傾向がある。体外に産み出される卵は,外敵からの保護や乾燥の防止などのために,膜membraneや殻shellによっておおわれていることが多い。…

【蒸物】より

…蒸気で蒸してつくる料理。まんじゅう,蒸しようかんなどの蒸菓子をこの名で呼ぶこともある。平安時代にはすでに使われていたことばで,《大和物語》には〈庭に生たるな(菜)をつみてむし物といふものにして〉という記述がある。(こしき)を用いて米などを蒸すことは古墳時代から行われており,菜を蒸すことももちろん可能であったが,《延喜式》に〈茹菜〉の語があり,菜の蒸物というのは,菜のゆでものであったかもしれない。《伊呂波字類抄》には〈茹〉と〈蒸〉とは同義とされている。…

※「茶碗蒸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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