キンマ

デジタル大辞泉の解説

キンマ

《東南アジアの言語に由来するという。「蒟醤」とも書く》
コショウ科の蔓植物(つるしょくぶつ)。葉は厚く、心臓形。雌雄異株。黄色の花を穂状につける。インドの原産で、東南アジアにかけて広く栽培される。葉は辛味と芳香があり、石灰ビンロウジの種子を包み、かんで口中清涼剤にする。
タイ・ミャンマー産の漆器。また、その技法。素地は、多く竹を編んで作った籃胎(らんたい)で、黒漆塗りの表面に文様を毛彫りし、朱漆などの色漆を充塡(じゅうてん)して研ぎ出したもの。日本には近世に伝わり、茶道具として珍重された。→象谷塗(ぞうこくぬり)

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百科事典マイペディアの解説

蒟醤【きんま】

竹を編んだ素地に漆を塗り,これに模様を線刻し色漆を塗ってとぎだした漆器。中国の沈金の影響を受けてタイで作られたが,16世紀以降はミャンマーが主産地となった。近世以降日本に輸入され,茶人の間で珍重された。象谷塗(ぞうこくぬり)はこの技法を応用したもの。
→関連項目漆器

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蒟醤
きんま

漆加飾技法の一種。金間、金磨、金馬の字もあてる。タイのチェンマイ地方、ラオス、ミャンマー(ビルマ)で産し、中国に伝わって填漆(てんしつ)とよばれ、日本では茶人が香合(こうごう)、食籠(じきろう)に転用し愛好した。江戸末期、高松の玉楮象谷(たまかじぞうこく)(1805―69)はこの技を模し、優れた作品を残し、その伝統がこの地方の産業として今日まで栄えている。素地は主として竹を編んでつくった籃胎(らんたい)で、その表面に漆を塗り、文様を刀で線刻をして表し、この線刻の中に朱や青、黄などの彩漆(いろうるし)を埋め、研ぎ出したり、あるいはその上に漆を塗ってから研ぎ出したりする。意匠文様は、小花、葉文、十二支のような動物文、人物文をすきまなく連続文様で空間をうずめる。「きんま」の語源については、タイ語で檳榔樹(びんろうじゅ)の実をかむことをキンマークということに由来するという説(三木栄『暹羅之藝術(しゃむのげいじゅつ)』)や、キンマは南方産のつる草の葉のことで、それと檳榔子とを石灰にまぶしてかむ習慣があり、これらを入れる容器をわが国で「きんま」というようになったとする説(『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』)もある。[郷家忠臣]

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

蒟醤 (キンマ・クショウ)

植物。コショウ科のつる性低木

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精選版 日本国語大辞典の解説

キンマ【蒟醤】

〘名〙 (東南アジアの言語に由来するのであろうが未詳)
① コショウ科のつる性半低木。マレー原産で、熱帯地方で広く栽培される。全体に無毛で芳香があり、葉は革質で光沢があり、卵形をし、直径約一〇センチメートルになり、下向きに出る柄をもつ。雌雄異株。黄白色の小花が密集した長さ一〇センチメートルぐらいの穂を葉腋(ようえき)から下垂する。多肉の液果を結実。熱帯地方ではこの葉でビンロウの実と少量の石灰を包んで噛(か)み、清涼剤にするといわれる。漢方では葉を乾燥したものを蒟醤(くしょう)葉といい、根、種子とともに健胃、去痰(きょたん)剤に用いる。〔大和本草(1709)〕
② (「金馬」とも) 漆工芸の技法の一つ。また、その製品。漆塗の面に文様を線彫りし、そこに色漆をつめて研(と)ぎ出す。一色だけで文様を表わしたものと、多色の色漆を用いたものとがある。元来、タイ、ミャンマーで①を入れるのに用いたが、日本にはいり近世以降、茶人が香合、茶器、食籠(じきろう)として珍重した。天保年間(一八三〇‐四四)、讚岐高松で模されたものもあり、讚岐キンマといわれる。蒟醤手。蒟醤塗。〔随筆・嬉遊笑覧(1830)〕

たたい たたひ【蒟醤】

〘名〙 植物キンマ(蒟醤)」の異名。〔本草和名(918頃)〕

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