毛彫(読み)けぼり

百科事典マイペディア「毛彫」の解説

毛彫【けぼり】

彫金技法の一つで,もっとも古いもの。細く鋭いたがねで線を刻み,文様や文字を描く。金属の表面に毛を表現したり,毛のように細い線を彫るところからこの名称がある。隋唐の金工品や正倉院宝物の螺鈿(らでん)などにもみえるが,日本では平安時代に流行し,金峯山寺延暦寺の経箱などすぐれたものが作られた。彫るときに速度を速めて線に断続を与えたものは蹴彫(けぼり)と呼ぶ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「毛彫」の解説

毛彫
けぼり

金属工芸の一技法で線彫の一種。金属面に (たがね) で連続した凹線の模様を彫り込む。使用する鏨には先が丸いものと,とがったものがある。毛髪のような細い線で,やわらかな味や鋭い感じを表現する。古墳時代出土品に遺例がみられる。

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精選版 日本国語大辞典「毛彫」の解説

け‐ぼり【毛彫】

〘名〙 彫金技法の一つ。金属、象牙、貝などに先のとがった鏨(たがね)を用い、細い線で模様や文字を彫ること。また、その彫ったもの。
※五月雨日記(1479)「香盆香箱居様〈略〉仙人 銀をもてつくり菊の折枝は毛ほりにする也」

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デジタル大辞泉「毛彫」の解説

け‐ぼり【毛彫(り)】

金属・象牙などにたがねを用いて模様や文字を細い線で彫ること。また、その彫り物。彫金の中で最も基本的な技法で、古くから行われた。東大寺大仏の台座蓮弁などが有名。

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世界大百科事典 第2版「毛彫」の解説

けぼり【毛彫】

彫金の一技法。金属の表面に毛を表現したり,毛のような細線を彫るところからこの名称があり,彫金のなかでもっとも古い技法である。先が三角にとがった刃の鏨(たがね)で彫る基礎的な技法で,鋭く力のある線が彫られる。古くは古墳時代の金工遺品にも毛彫は多くみられ,飛鳥時代の仏像や光背,金銅幡(ばん)など,奈良時代の正倉院宝物中にも多数みられる。金属以外の貝面や漆面にほどこされる細い刻線を毛彫ということもある。【香取 忠彦】

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世界大百科事典内の毛彫の言及

【彫金】より

…鋳造または鍛造(たんぞう)された金属器の表面に,鏨(たがね)で文様を彫ったり,透かしたり,他の金属を嵌(は)めて装飾したりする金工の加飾技法。毛彫(けぼり)や蹴彫(けりぼり)などの線刻,魚々子打(ななこうち),高肉彫や透彫(すかしぼり),象嵌(ぞうがん)などに大別される。 〈点線彫(てんせんぼり)〉は,先のとがった細い鏨を連続して打ち,点線を表現する技法。…

※「毛彫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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