薬用酒(読み)ヤクヨウシュ

デジタル大辞泉 「薬用酒」の意味・読み・例文・類語

やくよう‐しゅ【薬用酒】

薬酒やくしゅ

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精選版 日本国語大辞典 「薬用酒」の意味・読み・例文・類語

やくよう‐しゅ【薬用酒】

  1. 〘 名詞 〙 基剤となる種々の酒類生薬(しょうやく)類を溶存させ香味を付加した酒。日本古来の果実酒やリキュール類が含まれる。薬味酒・薬酒とも。
    1. [初出の実例]「滋養香竄葡萄酒と云ふは、浅草花川戸町神谷氏の製造に係る薬用酒にて、鉄と幾那を配合せし物なり」(出典:読売新聞‐明治一八年(1885)八月四日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「薬用酒」の意味・わかりやすい解説

薬用酒
やくようしゅ

薬効をもった酒。生薬(しょうやく)を酒で浸出し、砂糖などで味をととのえたもの、あるいはこれに麹(こうじ)などを加え、みりん醸造のような工程をとったものもある。薬用酒には二通りある。

(1)「薬用酒」と称して、薬事法の規定によりつくられ、薬効をもつもの。これは厚生労働大臣の許可を得て、酒としての免許をもち、薬局で販売されている。

(2)「薬味酒」と称するもので、薬事法の適用を受けず、薬効といっても保健的な意味をもった薬酒である。酒店で販売されている「養命酒」や「陶陶酒」はこれに属する。

 現在普通に用いられている生薬は人参(にんじん)、地黄(じおう)、虎骨(ここつ)、白朮(びゃくじゅつ)、五味子(ごみし)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、反鼻(はんび)、枸杞子(くこし)、五加皮(ごかひ)、杜仲(とちゅう)、黄蓍(おうぎ)、肉蓯蓉(にくじゅうよう)、淫羊藿(いんようかく)、桂皮(けいひ)、防風(ぼうふう)などがあり、数種を混ぜ合わせて、不老長寿、強壮剤として調合される。

[秋山裕一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薬用酒」の意味・わかりやすい解説

薬用酒
やくようしゅ

薬酒。薬草や香味のすぐれたもの,そのほか医療や強精に役立ちそうな物質の成分を浸出させた酒。酒自体に催酔性があり,ストレスの解消に役立つほか,病弱者やショックに陥った者に,一時的に機能を促進させる効果をもっているが,さらにアルコールが物質を溶解,浸出させる性質を利用して有効成分を加えたもの。屠蘇 (とそ) ,梅酒,枸杞 (くこ) 酒,にんにく酒,まむし酒,すっぽん酒,忍冬 (にんどう) 酒,保命酒,中国では五加皮酒などがある。ヨーロッパのベルモット,リキュール類,果実酒なども一種の薬用酒である。

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飲み物がわかる辞典 「薬用酒」の解説

やくようしゅ【薬用酒】


薬酒。⇒薬酒

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世界大百科事典(旧版)内の薬用酒の言及

【薬酒】より

… 現在の日本の酒税法では,アルコール分1%(容量百分比)以上を含む嗜好(しこう)飲料は酒とみなされており,ビタミン剤などアルコール分を含むが嗜好性のないものは酒として取り扱われない。酒類としての薬酒には酒販店で売られている〈薬味酒(やくみしゆ)〉と薬局で販売されている〈薬用酒〉とがある。後者はその薬効について薬事法の規定により厚生大臣の認可をうけた酒である。…

※「薬用酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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