デジタル大辞泉 「果実酒」の意味・読み・例文・類語
かじつ‐しゅ〔クワジツ‐〕【果実酒】
2 焼酎などの蒸留酒に果実を漬け込んだ飲み物。梅酒など。
[類語]酒・
果実を原料とする醸造酒。果実を搾ってとった果汁を発酵させてつくるもので,これが本来の果実酒であるが,日本では一般に果実を焼酎などに浸漬(しんし)し,発酵させることなしにその香味を抽出する梅酒のような果実リキュールをも,果実酒と呼ぶ。しかし,酒税法では本来のものを果実酒,果実リキュールはリキュールとして区別している。
果実酒を代表するものはブドウ酒で,リンゴ酒(シードル)がこれにつぐ。これらのほかには,ナシ,モモ,スモモ,サクランボ,アンズ,イチゴ,ザクロ,クロスグリなどを原料とするものがつくられている。果汁はブドウ糖,果糖,ショ糖などの糖類を含んでいるが,これらは酵母によって容易に発酵し,その糖量の約半量がアルコールになる。日本の原料果実は,表1に示すように一般に糖分が少ないので,果汁に一定の限度内で補糖,発酵させたものも,果実酒として認められている。補糖はショ糖かブドウ糖で行われ,補糖後の汁液の糖分が26%以下であること,補糖は発酵終了前に行うこと,製成酒のエキス分が7度未満であることが規定されている。果実酒の発酵は,原料の果皮に付着している野生酵母による自然発酵方式をとることもあるが,日本では果実に適した酵母を純粋培養しておき,これを搾汁時あるいは仕込み時に加えて発酵させる方法を採用している。
ホームリカーとも呼ばれる。梅酒は,以前から家庭でつくられていたが,法律上これは密造に属するものだった。1962年に免許なしに家庭で梅酒をつくることが初めて許可され,71年までにブドウを除いてすべての果実を用いてつくることも許可されるようになった。それらの果実リキュールの基酒にはふつう焼酎が用いられ,砂糖は氷砂糖かグラニュ糖を用いる。アルコールも糖も濃度の高い方が,果実成分の抽出能力は高くなるが,糖が多いと苦みの出ることも多いので,砂糖は果実の50%程度を標準にするとよい。
→梅酒
執筆者:秋山 裕一
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果汁からつくられる酒。果実特有の風味が特徴。果実酒には本来の果実酒と焼酎(しょうちゅう)に浸してつくる果実の酒がある。果実酒は、果汁を発酵させた本格的なものと甘味果実酒とに分けられる。前者は、わが国の果実が一般に糖分が少ないため、酒質や貯蔵の安全を考慮して、一定制限下(糖分26%以下)で補糖して発酵させてつくる。果実酒の代表はワインとりんご酒(シードル)である。甘味果実酒は、果汁への補糖が一定枠を超えたり、酒に糖分を加えたもので、日本的ポートワインといわれた甘味ワイン(「スイートワイン」または「ハニーワイン」)がこれである。果実リキュール、ホームリキュールなどとよばれる果実の酒は、梅酒に代表されるように、以前から家庭でつくられていたものである。法律的には1962年(昭和37)まず梅酒を、ついで71年からブドウを除くすべての果実を使って家庭で自家用につくることができるようになった。
[秋山裕一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 日本の酒税法では,酒は〈アルコール分1度(容量比で1%)以上の飲料〉と定義され,液体に限らず糖類でアルコールなどの分子をくるんだ粉末状のものも酒とみなされるが,みそ,しょうゆのようにアルコールを1%以上含むものであっても嗜好(しこう)飲料として供しえないものは酒から除外されている。
【酒の種類】
酒は,製造法のうえから醸造酒,蒸留酒,混成酒の3種に分類されるが,日本の酒税法では清酒,合成清酒,焼酎,みりん,ビール,果実酒類,ウィスキー類,スピリッツ類,リキュール類,雑酒の10種類に分類される。なお酒税法上の種類名を製品に表示することが義務付けられている。…
…山東省烟台,北京東郊,河南省民権の甘口の赤ブドウ酒,河北省沙城の辛口の白ブドウ酒は全国名酒に認定されている。(5)果酒 ブドウ以外の果実類を原料とした果実酒で,種類が多い。おおむね,アルコール分13~14%から20%程度,糖分10%以上の甘口酒である。…
※「果実酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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