藤田五郎(読み)ふじたごろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤田五郎」の意味・わかりやすい解説

藤田五郎
ふじたごろう
(1915―1952)

経済史学者。広島市に生まれる。広島高等学校を経て、1939年(昭和14)東京帝国大学経済学部を卒業、40年に福島高等商業学校(のち福島大学経済学部)助教授就任、翌年教授に昇任し、商品学を講じた。福島市移住後、日本経済史に興味を抱き、信達(しんだつ)・会津両地方の実証的研究に着手するとともに、日本の近代化を日本社会の内部的発展視点から理論的に追究した。その結果、幕末における近代化の基軸的な担い手は「豪農」であると論証し、「豪農」の歴史的意義を究明して幕末・維新史の研究水準を高めた。1949年(昭和24)広島大学教授へ転じたが、また福島大学へ復帰し、福島市で病没した。

[寺谷武明]

『『藤田五郎著作集』全五巻(1970~71・御茶の水書房)』

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世界大百科事典(旧版)内の藤田五郎の言及

【安土桃山時代】より

… (1)は中村吉治に代表される見解で,貨幣経済の進展によって解体しかかった中世封建制が,戦国期から織豊政権にかけて,大名領知制の確立や検地,身分統制の強化などによって再編強化され,近世封建制が成立したというものである。(2)は藤田五郎に代表される見解で,夫役経営(労働地代)を基本とする中世の農奴制的封建社会が,土一揆,一向一揆の過程を通じて,本百姓=隷農による小農民経営が成立し,生産物地代を中心とする,より純粋化した形の封建社会が成立したというものである。(3)は服部之総に代表される見解で,土一揆,一向一揆に代表される民衆の闘いと,倭寇から朱印船貿易にみられる海外発展は,あたかもヨーロッパの初期絶対主義時代に相当するという見解である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」