日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤田五郎」の意味・わかりやすい解説
藤田五郎
ふじたごろう
(1915―1952)
経済史学者。広島市に生まれる。広島高等学校を経て、1939年(昭和14)東京帝国大学経済学部を卒業、40年に福島高等商業学校(のち福島大学経済学部)助教授に就任、翌年教授に昇任し、商品学を講じた。福島市移住後、日本経済史に興味を抱き、信達(しんだつ)・会津両地方の実証的研究に着手するとともに、日本の近代化を日本社会の内部的発展の視点から理論的に追究した。その結果、幕末における近代化の基軸的な担い手は「豪農」であると論証し、「豪農」の歴史的意義を究明して幕末・維新史の研究水準を高めた。1949年(昭和24)広島大学教授へ転じたが、また福島大学へ復帰し、福島市で病没した。
[寺谷武明]
『『藤田五郎著作集』全五巻(1970~71・御茶の水書房)』