袋掛(読み)ふくろかけ

精選版 日本国語大辞典 「袋掛」の意味・読み・例文・類語

ふくろ‐かけ【袋掛】

  1. 〘 名詞 〙 園芸作業で、個々果実紙袋を掛けること。病害虫を防ぎ、日焼け薬剤焼けなどを防止し、また葉ずれ、枝ずれを防いで、果面の外観を美しく保つ目的をもつ。《 季語・夏 》

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改訂新版 世界大百科事典 「袋掛」の意味・わかりやすい解説

袋掛け (ふくろかけ)

リンゴニホンナシモモ,ビワなどの栽培で,果実を病虫害から守り,外観を美しく保つために,新聞紙やハトロン紙で作った袋で果実を被覆すること。リンゴの赤色品種やモモなどの果実は,成熟期が近づくと,葉緑素分解し,代りにアントシアニンという赤色の色素生成する。ところが,アントシアニンの生成には光が必要なので,赤く着色させるためには,リンゴでは収穫の10~40日前,モモでは収穫の3~10日前に袋を取り除いて光にあてなければならない。袋掛けをすると,葉緑素の分解が促進されるので,除袋後のリンゴやモモの果実は鮮やかな赤色となるが,袋掛けをしない果実は暗赤色となる。また,袋掛けをすると,枝や葉によって果面が機械的な損傷をうけたり,雨や薬剤がかかって果面にコルクが形成されるのを防ぐことができる。

 袋掛けは日本特有の技術で,1895年に岡山県で害虫防除のために,モモの果実に和紙で作った袋をかぶせたのが始まりである。その後,袋掛けをすると果実の外観が美しくなることが明らかとなり,袋掛けは急速に普及した。しかし,今日では防除技術が発達し,一部の病虫害(二十世紀ナシの黒斑病,中・晩生のモモを加害する吸蛾類(きゆうがるい))以外は薬剤による防除が可能となり,また労力不足もあって,外観をとくに重視する品種を除けば,袋掛けをしない無袋栽培が多くなった。
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