黒斑病(読み)コクハンビョウ

デジタル大辞泉 「黒斑病」の意味・読み・例文・類語

こくはん‐びょう〔‐ビヤウ〕【黒斑病】

野菜果樹の葉・茎・根などにカビ一種が寄生し、黒色を帯びた斑点ができて広がる病害

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精選版 日本国語大辞典 「黒斑病」の意味・読み・例文・類語

こくはん‐びょう‥ビャウ【黒斑病】

  1. 〘 名詞 〙 植物の病害の一つ。花卉(かき)、野菜、果樹の葉や実にかびの一種が寄生し、その部分に黒い斑点ができるもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒斑病」の意味・わかりやすい解説

黒斑病
こくはんびょう

サツマイモダイコンハクサイ、カブ、ニンジンネギナシスモモ、キクなどの葉や果実に黒色の斑点ができる病気病原菌の種類は作物によって異なるが、サツマイモおよびキク黒斑病以外は、いずれもアルテルナリアAlternaria属の糸状菌によっておこる。

 ナシ黒斑病は二十世紀ナシなどのアオナシによく発生して早期落果の原因になり、被害も大きくナシのもっとも重要な病気の一つである。袋かけ、アゾキシストロビン剤(「アミスター」)、イミノクダシン酢酸塩剤(「ベフラン」)、イプロジオン剤(「ロブラール」)、ジチアノン剤(「デラン」)などの薬剤を散布して防ぐ。ネギ黒斑病は葉に大きな黒色の病斑ができ、病斑から上の部分は枯れる。夏から秋にかけ発生が多く、被害も大きい。

 サツマイモ黒斑病はケラトシスティス・フィンブリアタCeratocystis fimbriataという糸状菌によっておこり、サツマイモのもっとも重要な病気。つるの基部やいもに苗床や本畑で、また貯蔵中のいもに発生する。病斑はわずかにへこんで黒色を呈する。病気にかかったいもは病斑の部分にイポメアマロンという物質ができて強い苦味を呈する。種いもや苗を温湯で消毒して防ぐ。貯蔵前にいもをキュアリング(30~33℃、湿度90%の状態に5日間おく)すると貯蔵中の発病が少なくなる。

[梶原敏宏]

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百科事典マイペディア 「黒斑病」の意味・わかりやすい解説

黒斑病【こくはんびょう】

植物の茎葉,果実,塊根などに,黒褐色ないし黒色の病斑を生じる病気の総称。サツマイモ,ゴボウ,ニンジン,ネギ,ナシ,スモモなど多くの作物を冒し,特にサツマイモ,ナシでは被害が大きい。病原菌は作物によって異なるが,大部分は菌類。防除は,種子や種芋の消毒,品種選別,ジネブ剤やボルドー液の散布など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒斑病」の意味・わかりやすい解説

黒斑病
こくはんびょう
early blight

ナシなどの病気で,ナシでは,果実,葉などに発生し,果実に発生すると,のちに表面がくぼみ中央部に黒いかびを生じる。葉では黒色の斑点を生じ,病斑は広がり不正形となり,周縁がやや淡黄色となり輪紋を生じることがある。ほかにサツマイモ,カキなどにも発生する。

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飼料作物病害図鑑 「黒斑病」の解説

黒斑病(レッドトップ)

葉に斑点を生じる糸状菌病。病斑は暗褐色から黒色、楕円形から紡錘形で、中央部は灰白色に色あせるため、環状に見える。古くなると、表面に分生子が粘塊状に形成されるため、病斑は白色になる。北海道、長野など高冷地での発生が多い。

黒斑病(エンバク)

主に葉に発生する斑点性の糸状菌病。初め黒褐色の小斑が不規則に形成され、これが拡大して楕円形から長方形の斑点となる。後に病斑表面に黒いかびが密生して、黒斑となる。病斑周囲は黄化し、やがて葉は枯死する。

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