袖中抄(読み)シュウチュウショウ

デジタル大辞泉 「袖中抄」の意味・読み・例文・類語

しゅうちゅうしょう〔シウチユウセウ〕【袖中抄】

平安末期の歌学書。20巻。顕昭著。文治年間(1185~1190)ごろの成立万葉集から堀河百首ごろまでの歌集歌合うたあわせから約300の難解な歌語を抄出・解釈したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「袖中抄」の意味・読み・例文・類語

しゅうちゅうしょうシウチュウセウ【袖中抄】

  1. 歌学書。二〇巻。顕昭著。文治元~三年(一一八五‐八七)頃の成立。「万葉集」以後「堀河百首」頃までの歌集・歌合の歌より約三〇〇の難解な歌語を抄出し証歌をあげて解釈したもの。「綺語抄」「俊頼髄脳」などの説と自説を対照させ、仏典漢籍などを参照した、当時の最も詳細な歌語の研究書。

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百科事典マイペディア 「袖中抄」の意味・わかりやすい解説

袖中抄【しゅうちゅうしょう】

平安末期の歌学書。20巻。顕昭著。初稿本は《顕秘抄(けんぴしょう)》と呼ばれる。精撰本は1187年ころの成立。難語に対して,その典拠歌を挙げ,まず自説を述べ,ついで諸説を引用して批評を加える。引用は,撰集・家集・歌合から,《奥義抄》《俊頼髄脳(としよりずいのう)》《綺語抄》《和歌童蒙抄》などの歌学書,《古事記》《日本書紀》などの史書や仏典まで百数十種に及ぶ。六条家歌学の代表的著作。前代の歌学書の誤りを正し,語義を詳細に解説しているため,後代に広く利用された。

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改訂新版 世界大百科事典 「袖中抄」の意味・わかりやすい解説

袖中抄 (しゅうちゅうしょう)

鎌倉初期の和歌注釈書。《顕秘抄》と題する3巻本もあるが,一般にはそれを増補したとみられる20巻本をさす。1186-87年(文治2-3)ころ顕昭によって著され仁和寺守覚法親王に奉られた。《万葉集》以降《堀河百首》にいたる時期の和歌から約300の難解な語句を選び,百数十に及ぶ和・漢・仏書を駆使して綿密に考証。顕昭の学風を最もよく伝え,《奥儀(おうぎ)抄》《袋草紙》とならぶ六条家歌学の代表的著作。
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