傷病名・障害名、治療の経過や現症、結果などを記載した文書で、医師が作成する証明書のことである。2008年度診療報酬改定で新設された医師事務作業補助体制加算および「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について(厚生労働省医政局長通知。平成19年12月28日)」により、医師が最終的に確認し署名することを条件に、事務職員が医師の補助者として記載を代行することが可能となった。医師には診断書の交付義務があり、「診察若(も)しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない」と規定されている(医師法19条2項)。
診断書には大きく分けて「死亡診断書(死体検案書)」とそれ以外の目的の診断書がある。死亡診断書は、人間の死亡を医学的・法律的に証明する書類であり、また、国民の保健・医療・福祉に関する行政の基礎資料(死因統計)作成の元となる書類として重要な意義がある。そのため、医師法施行規則の第20条および「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」(厚生労働省)のなかに必要記載事項が明確に定められている。また、診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連する原因により死亡した場合については死亡診断書が作成されるが、それ以外の場合には、死体を検案し、死体検案書を作成しなければならないとされている。
各種保険金の請求などに使われる通常の診断書は記載内容が標準化されていない。個々の様式にあわせて書類作成が必要なことに伴う事務作業負荷や、過去の診療記録の確認のための負荷は小さいとはいえず、これらは患者への直接の診療に関係しない場面での医師の負担軽減に向けての課題と考えられる。
[前田幸宏]
人の健康状態に関する医師の医学的判断を表示・証明する文書(通常の診断書)と,医師がみずから診療した傷病により死亡した人の死因などに関する医学的判断を証明する文書(死亡診断書)をいう。後者については記載すべき事項が定められている(医師法施行規則20条)が,前者についてそのような規定はなく,慣例に従って作成されている。診察をした医師は,診断書の交付の請求があった場合,正当な事由がなければこれを拒んではならない(医師法19条2項)。この義務が認められたのは,診断書が官公署への申請の添付書類として,あるいは保険金請求の証明書類として使われるなど,社会的にそれに対する必要性が高いからである。また,医師が公務所に提出すべき診断書に虚偽の記載をなした場合,3年以下の禁錮または10万円以下の罰金に処せられる(刑法160条)。医師の作成する診断書の真正を確保しようとする趣旨である。
執筆者:平林 勝政
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