図上に詩文などの著賛をもつ絵画形式で,中国における詩画一致の思想から生まれたものであり,詩軸や詩画巻,跋文(ばつぶん)と本紙との併存,詩画屛などと関連しながら掛軸(掛物)として定着したものである。日本では,禅僧の漢詩文や隠逸趣味と結びついて,京都五山を中心に独自の発達をとげた。1405年(応永12)の《柴門(さいもん)新月図》(藤田美術館)を最古例に,応永年間(1394-1428)に優品が多い。如拙,周文以降の水墨山水画の成立過程において重要な役割をはたしている。詩画軸の内容には,書斎生活にちなんだ書斎軸,たとえば《渓陰小築図》(金地院),《聴松軒図》(静嘉堂)などや,友人との別離に際して制作された送別軸《帰郷省親図》(常盤山文庫)などがある。
→水墨画
執筆者:衛藤 駿
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…明兆は水墨による大幅の仏画と彩色の羅漢画を豊かな筆力で描き分け,ついで如拙,周文が将軍家の用命に応じて活躍した。彼らとその周辺の画僧が多く手がけた詩画軸は,将軍も加わって五山の僧の間に流行した詩会の産物で,それは当時の中国禅林に浸透していた文人趣味の移植されたものである。詩画軸の画は,小画面の挿図的なものとはいえ,その詩的情趣に富む表現は,中国山水画の日本的解釈としてすぐれている。…
※「詩画軸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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