(読み)サン

デジタル大辞泉 「賛」の意味・読み・例文・類語

さん【賛〔贊〕】[漢字項目]

[音]サン(呉)(漢) [訓]ほめる たたえる たすける
学習漢字]5年
わきから力を添えてたすける。同意する。「賛意賛成賛同賛否協賛翼賛
ほめたたえる。「賛歌賛辞賛嘆賛美称賛賞賛絶賛礼賛
人物などをたたえる文章。「論賛
絵に添える詩文。「画賛自画自賛
[補説]24は「さん」と通用する。
[名のり]あきら・じ・すけ・たすく・よし

さん【賛/×讃】

ほめたたえること。また、その言葉。「バッハ―」
漢文文体の一。人物や事物をほめる際の文章。多く、4字1句で韻を踏む。
画面の中に書きそえた、その絵に関する詩句。画賛。
仏・菩薩ぼさつの徳をたたえる言葉。
論評批評
出口茶屋に腰掛けながら、朝帰りの客に―付くるに」〈浮・諸艶大鑑・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「賛」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(旧字)贊
19画

[字音] サン
[字訓] たすける・たたえる

[説文解字]

[字形] 会意
旧字は贊に作り、(しん)+貝。(しん)。は古くは呪儀に用いることがある。貝にをそえて祈り、神の祐助を求める。ゆえにたすけて成就する、賛成の意となる。〔説文〕六下に「見(まみ)ゆるなり」と訓し、進見のときに貝を贈物とする意とするが、古義ではない。〔書序、咸乂〕に「伊陟(いちよく)巫咸に贊(たす)けらる」、〔易、説卦伝〕「を幽贊(いうさん)し、(めとぎ)を生ず」のように、神明・神聖の祐助を得ることをいう。

[訓義]
1. たすける、神の祐助をうける。
2. すすめる、みちびく、つげる。
3. ほめる、たたえる、神徳をたたえる。
4. あきらかにする、なしとげる。
5. まみえる。
6. 字はまた、讚に作る。

[古辞書の訓]
名義抄〕贊 ススム・スツ・ソナフ・タスク 〔字鏡集〕贊 ミチビク・タスク・ヤム・ソナフ・タダス・ホム・ミル・スツ・マウス・ススム

[声系]
〔説文〕に贊声として・鑽など十字を収める。贊に纂(さん)の声があって、集の意があり、その義に通ずるものが多い。

[語系]
贊tzanは・左・佐tzaiと声義の関係があり、贊は神明の佐助を求める意。左・佐は神明を助け参らす意の字である。纂tzuanは贊と畳韻。また撮tsuat、dzuan、dzhoanなども声義近く、この系統のものには集の意がある。*語彙は讚字条参照。

[熟語]
賛引・賛謁・賛閲・賛化・賛・賛画・賛軌・賛・賛君・賛稽・賛見・賛語・賛仰・賛興・賛佐・賛祭・賛賛・賛祀・賛辞・賛者・賛述・賛助・賛称・賛唱・賛頌・賛賞・賛襄・賛水・賛成・賛世・賛正・賛嘆・賛同・賛導・賛唄・賛拝・賛美・賛評賛文・賛諭・賛誉・賛揚・賛翼・賛理・賛和
[下接語]
引賛・謁賛・画賛・共賛・匡賛・協賛・宏賛・賛・自賛・称賛・賞賛・図賛・絶賛・宣賛・熱賛・扶賛・輔賛・奉賛・褒賛・幽賛・翼賛・礼賛・論賛

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「賛」の意味・わかりやすい解説

賛 (さん)
zàn

中国の韻文の文体の一種。讃とも書く。人や物を賛(たた)え美(ほ)めることを本質とする。賞賛を主とする点では〈(しよう)〉に共通する。《文心雕竜(ちようりよう)》では,頌とともに頌讃篇が設けられており,《文選(もんぜん)》では巻四十七に頌と賛が収められている。かならず4字句から構成され,偶数句で脚韻を踏む。10句前後の短いものが多いが,なかには《文選》に収められる夏侯湛(かこうたん)の《東方朔画賛》などのように,かなり長い作品もある。賛の対象とするところは多岐にわたるが,絵画に付される画賛のごとく,他の何かに付属して行われるのが普通である。独立して書かれる場合も,《文選》所収の賛のように長い散文の序を伴うことが多い。また紀伝体の史書の各巻末で述べられる史家の批評を,賛あるいは論賛と呼ぶ。散文の部分と韻文の部分から成ることが多いが,《後漢書》等のごとく韻文のみを指して賛と称するものもある。《文選》は〈史述賛〉の名で,この種の賛を収録している。
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百科事典マイペディア 「賛」の意味・わかりやすい解説

賛【さん】

人徳や物の美を称賛する韻文で,讃とも書く。禅宗関係の肖像画水墨画余白に見られるのは〈画賛〉ともいい,画家自身の書いたものを〈自賛〉という。史書の巻末で史上の人物をたたえたものは〈史賛〉という。
→関連項目菅家文草詩画軸如拙黙庵落款

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賛」の意味・わかりやすい解説


さん

讃とも書く。漢文の文体の一種。人または事物を称揚する意味で,元来は神明に捧げる辞。絵画では画面の中に書かれた詩,歌,文をさす。中国画で書画一致の思想が発展するにつれて宋時代に完成し,これが日本に伝えられ,特に室町時代頂相 (ちんぞう) や水墨画に盛んに行われた。画家自身が書くのを自賛,賛文を書くことを着賛,賛を求めることを請賛という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「賛」の意味・わかりやすい解説


さん

画賛

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