(読み)ザン

デジタル大辞泉 「讒」の意味・読み・例文・類語

ざん【讒】[漢字項目]

[音]ザン(呉) [訓]そしる
告げ口をする。そしる。「讒言讒訴讒謗ざんぼう

ざん【×讒】

他人を陥れるために事実でない悪口を言うこと。讒言。「にあう」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「讒」の意味・読み・例文・類語

ざん【讒】

  1. 〘 名詞 〙 事実でないことを言って他人をおとしいれること。また、そのことば。讒言(ざんげん)
    1. [初出の実例]「おのれが金(こがね)千両を負ひ給へり。其のわきまへしてこそ出で給はめ』といへば、この旅人ずんざども笑ひて、『あらじや、ざんなめり』といへば」(出典宇治拾遺物語(1221頃)一)
    2. 「罪なき人の、大功ありながら、讒にあひ給へるもいたはしくて」(出典:集義和書(1676頃)一)
    3. [その他の文献]〔荘子‐漁父〕

よこし【讒】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「よこす(讒)」の連用形名詞化 ) 事実をまげて人の悪口を言うこと。中傷すること。また、そのことば。讒言(ざんげん)
    1. [初出の実例]「人言の讒(よこし)を聞きて玉桙の道にも会はじと云へりし吾妹(わぎも)」(出典:万葉集(8C後)一二・二八七一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「讒」の読み・字形・画数・意味


24画

[字音] ザン
[字訓] そしる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(ざん)。〔説文〕三上に「譖(そし)るなり」とあり、譖(しん)には「(うつた)ふるなり」という。讒・譖は声義の近い語で、無実をもって人を讒毀することをいう。〔左伝、昭五年〕に「敗言を讒と爲す」とみえる。〔詩、小雅、十月之交〕に「罪無く辜(つみ)無きに 讒口囂囂(がうがう)たり」とあって、西周末期の政治社会は混乱を極めた。

[訓義]
1. そしる、あしざまにいう、人を傷つけることをいう。
2. そこなう。
3. いつわる、大げさにいう。
4. おもねる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕讒 与己須(よこす)、不久也久(ふくやく) 〔名義抄〕讒 ソシル・ヤブル・ネコト・ヨコト・シコヅ・マヘ・マウシ 〔字鏡集〕讒 ヨコト・シコヅ・ネコト・マヘ・マウシ・ヤブル・イツハル・ワカツ・ソシル

[語系]
讒dzheam、譖tzhimは声近く、ともにそしることをいう。譖は(かんざし)を呪具として人を呪詛することを示す字。〔玉〕に「譖は讒なり」とあって互訓している。

[熟語]
讒悪・讒害讒陥・讒間・讒毀・讒逆讒凶讒鬩・讒言・讒構讒巧・讒子讒嫉・讒者・讒邪讒臣・讒人讒擠・讒説・讒舌・讒讒賊・讒短讒鼎讒詆讒諂・讒妬・讒怒・讒・讒佞・讒夫・讒嬖・讒謀・讒・讒
[下接語]
讒・奸讒・毀讒・讒・去讒・口讒・讒・疾讒・信讒・多讒・怒讒・謗讒・密讒・讒・憂讒

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android